3月の開催レポートが到着!

325日に虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムで開催された、161回目のHills Breakfastは、年度末にもかかわらず多くの参加者でにぎわいました。登壇者は今回もそれぞれに個性的な4名。参加者たちは、ユニークな活動内容や活動にかける想いを聞きながら、時に笑い、時に真剣に耳を傾けていました。

櫻井彩乃(Ayano Sakurai)/一般社団法人GENCOURAGE代表理事

櫻井さん
profile
1995年東京生まれ。ベンチャー企業や国際NGOを経て、若者がジェンダーの視点で社会課題に向き合い、学び・対話し・行動する場「ジェンカレ」を運営。国・地方自治体の審議会委員を務め、若者の声を政策に届けている。

性別で生き方や選択肢が決まることのない世界へ

「誰もが自分の意志で選べる世界へ」とのテーマを掲げ、ジェンダーギャップ解消を目指した活動を展開している櫻井さん。そのきっかけは、高校生の時に同級生から投げかけられた「女は黙ってかわいくしていればいい」との言葉でした。「同世代でこういうことを言う人いるんだ」と驚き、「性別関係なく、同じ人間じゃないか」と強く思ったといいます。

この衝撃が忘れられず、独学でジェンダーギャップを学び始めた櫻井さん。調べてみると、日本だけではなく世界にも、女の子と言う理由で学校に行けない、命を落としてしまうといった現実があることがわかったのです。「何ができるかわからないけど、ジェンダーギャップの解消に力を注ぎたい」。そこから、櫻井さんの活動は始まりました。

11人の小さなアクションが、格差を縮めていく

日本は、先進国の中でも男女の格差が大きい国。ジェンダーギャップ指数は148カ国中118位で、これは主要先進国の最下位。男女間の賃金格差、女性の政治家が少ない、性別によって役割が決められている、性別によって選択肢が異なる……といった男女間の格差が当たり前のように存在する国なのです。これを解消するには、123年かかると言われているといいます。

大学生の時、アフリカのロビーストに言われたのは、「現場の活動も大切だけれど、それを制度に反映しないといけない。両輪でやることが大事」とのアドバイス。櫻井さんが代表理事を務めるGENCOURAGEでは、SNSなどを用いて思いを持つ人と意思決定者をつないだり、志を持った若者をサポートしたりと、未来につながる活動に取り組んでいます。「123年を、1人1人の力で縮めていけたら」。櫻井さんの挑戦は始まったばかりです。

 

●勝俣 祐哉(Yuya Katsumata)/尺八奏者

勝さん

profile
1991年東京都足立区出身。東京音楽大学にて声楽と尺八を専攻し、現在二刀流で活動。尺八を世界に広めるために2019年にYouTubeチャンネルを本格的に開始する。現在登録者数5万人、『もののけ姫』の演奏動画が500万回を超える。

チューバから声楽、そして尺八へと転向し、尺八演奏に

和装姿での尺八演奏からプレゼンがスタート。プロの尺八奏者である勝俣さんは、登録者数5万人を超えるチャンネルの“尺八YouTuber”でもあります。もともと、音楽が大好きな子どもだったという勝俣さん。クラシックなども好きで、「音楽に携わる仕事がしたい」と思っていたそうです。高校生の時に吹奏楽部へ入部して、担当したのはチューバ。すっかりハマって音大のチューバ専攻へ進むほどに腕を上げます。

しかし、音大で先生から「いい声をしているから、歌を勉強したら?」と勧められ、声楽を始めることに。そしていつの間にか声楽専攻へ転向したのです。オペラ歌手になりたくて、イタリアへの留学を目指しますが、「海外に行くなら、日本人らしい一発芸がほしい」と思い立ち、尺八と出会います。一芸のつもりで始めた尺八でしたが、海外の文化の壁にぶつかったことが、勝俣さんに尺八の道を選ばせました。

YouTubeを通して、世界中に尺八の魅力を届けたい

尺八奏者になった勝俣さんは、尺八を世界に広めたいと考え始めます。そこで目を付けたのが、YouTube。とはいえ、森の中で尺八を演奏する動画をアップしたものの、1年ほどはまったく再生されませんでした。それを変えたのが、ある人気リコーダーYouTuberが、自分が演奏したのと同じ、もののけ姫のテーマ「アシタカせつ記」と投稿したこと。それからじわじわと再生回数が伸び、尺八YouTuberとしてのポジションを確立するに至りました。

「尺八は可能性のかたまり。まだまだ尺八を知らない人がいる」と勝俣さん。尺八の魅力を発信する活動はこれからも続きます。45日には、六本木ヒルズアリーナの春祭りコンサートに出演予定とのこと。気になる人は、勝俣さんのSNSをチェック!

 

●関 秀真(Seki Shuma)/散歩コミュニティIPPO 主催

関さん

profile
1998年生まれ、神奈川県出身。新卒で広告代理店に入社後、母の腰痛をきっかけに20255月、散歩コミュニティIPPOを立ち上げる。延べ1,500人以上と共に歩き、「楽しいの先に、健康がある」新しい散歩文化づくりに取り組んでいる。

散歩を介して生まれるコミュニケーションを大切に

関さんは、都内を中心に歩く“お散歩イベント”を運営するIPPOの代表です。一般的な街歩きイベントは、街の歴史や建物探訪などがメインですが、IPPOは参加者同士のコミュニケーションを重視しているのが特徴。「カフェ好き散歩」「フリーランス散歩」「エスニック好き散歩」といったようにテーマを設けて参加者を募ったり、歩きながらルート上にある目印を見つけてチェックしていくビンゴをやったりと、ユニークな散歩イベントを開催しています。

「お散歩部」というコミュニティでは、メンバー同士がその日歩いた歩数を報告し合う交流が行われていて、「歩くこと」が多くの人をつないでいるとのこと。「散歩は、正面で向き合わないので緊張しにくい。急な坂や階段を一緒に上ると距離が縮まる。開放感があり、室内よりも会話が弾むし、会話なくても成立する。クリエイティブを促進してくれるといった、多くのメリットがあります」と関さん。

運動が苦手でも、楽しみながら健康になれる社会へ

そもそも、IPPOを立ち上げたきっかけは、関さんの母親が腰を痛めたことでした。医師から「運動をするように」と言われるものの、運動好きではないため「習慣にするのは難しい」と母親がこぼしたのです。どうすれば運動したくなるかと尋ねると、「誰かとおしゃべりしながらなら、歩けると思う」とのこと。それで関さんが、コミュニケーション×散歩のIPPOをスタートさせたのです。

毎回、イベント後には「こんなに歩いてたの?」という声が聞かれるのだそう。「楽しんでいたらいつの間にか歩いているのは、ディズニーランドと似ている」と関さん。ストイックに歩くのではなく、楽しむこと。その先に健康がある社会を目指し、IPPOの活動は続きます。一緒に、新しい散歩文化を広げてくれる仲間を募集中。興味のある人は、IPPOInstagramにアクセスを。

 

●野口 竜平(Tappei Noguchi)/藝術探検家

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profile
武蔵野美術大学卒。在学中は早稲田大学探検部でも活動する。「遭遇の方法」をテーマに、タイヤを引きずり”南の島々”を一周する〈タイヤひっぱり〉、”私たち”を蛸の心身になぞらえて集まる〈蛸みこし〉などの活動を続ける。2025年度国際交流基金(美術)フェロー。

予期せぬ、良し悪しのない出会いを求める独自の活動

「藝術探検家」という変わった肩書きで活動をしている野口さん。「藝術探検とは何か?」を探究するべく、「遭遇の方法をつくる」をテーマに活動を展開しています。野口さんいわく、「遭遇とは予期せぬ、そして良し悪しのない出会い」とのこと。野口さんはこれを「出会い系アート」とも表現します。

遭遇の方法をつくるために取り組んでいる主な方法は、「蛸みこし」と「タイヤひっぱり」の2つ。「蛸みこし」はその名の通り、蛸の形をした軽くて柔らかいお神輿です。蛸の8本の脚は、それぞれに独立した知性があり、考えて動いているのだそう。それを人間が8人集まって神輿についた8本の脚を持って担ぐことで、体験してみようという試みです。イベントやワークショップなど、さまざまな場で「蛸みこし」を皆で担ぐ体験を提供しています。

あえて意味を決めないことで、気付けることがある

 「タイヤひっぱり」もその名の通り、タイヤを引きずって歩く活動。場所を南の島々に限定し、これまで台湾、種子島、屋久島、フィリピンのバナイ島などの島でタイヤを引きずってきました。「“なんでこんなことやってるんだ“という気持ちになるけれど、意味を決めないでやるのがいい。自分の中に生まれる気付きや、周囲の人の反応を見る」と野口さん。歩いた後には、タイヤがどれだけ削られたのかを測定するとのこと。

国際交流基金のフェローに選ばれ、4月中に「蛸みこし」と「タイヤひっぱり」をする旅に出るという野口さん。会場の虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムを見て、「ここは天井が高いので、<蛸みこし>をやってみたい」とのコメントも。もしかしたら、近いうちに虎ノ門で「蛸みこし」が担げる日が来るかもしれません。

 

■クロストーク

プレゼンの後は、登壇者とMCが自由に語り合うクロストークの時間。その様子を、ちょっとだけお届けします。 

関さんが野口さんに尋ねたのは、「なぜ蛸に至ったのか?」との質問です。それに対して、「重いものを一緒に運んで、一体感が生まれる経験をした。それは、お神輿的なことかなと思った」と野口さん。「でも神輿は硬くて重くて、なおかつ一体感を求めすぎ。だからバラバラでありながらも運べるものを模索して、蛸の体を思いついた」と、芸術家ならではの豊かな発想で答えます。 

勝俣さんから関さんには、「おすすめの散歩コースを教えてほしい」との質問が。関さんいわく「夜は、虎ノ門から日比谷界隈を歩くのがいい。夕方ならば、二子玉川から川沿いへずっと続く遊歩道がおすすめ。明治神宮にはぐるっと一周できるルートがあり、鳥の声などが聞こえて気持ちがいい」とのこと。

櫻井さんは関さんのプレゼンを聞き、「これまでチャリティーランなどはやったことがあるが、散歩をやってもおもしろそう」と思ったそう。「地方創生をテーマに、ゲストを招いて散歩しながら話し合うイベントをやったことがある」と関さん。一見、親和性がなさそうな櫻井さんと関さんの活動がつながりそうな予感です。

参加者から、「ジブリの1曲を少しだけ聞きたい」とのリクエストが上がり、勝俣さんの尺八演奏で締めくくり。今回も充実の回となりました。

次回の開催は4月22日(水)、朝8時からを予定しています。登壇者の情報や申し込みなどはこちらから。

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