10月の開催レポートが到着!プレゼン動画公開中!

157 回目の Hills Breakfast は、10 月 1 日に虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムで開催されました。
来場者のうち、およそ 3 分の 1 が初めての参加。50 名を超える人々の熱い視線を受けながら、4 名の登壇者はそれぞれのプレゼンを届けました。

■三浦 宗一郎(Soichiro Miura)/一般社団法人HASSYADAIsocial 共同代表理事

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profile
愛知県出身。中学卒業後、トヨタ工業学園を経てトヨタ自動車に入社。2017年、内閣府「世界青年の船」日本代表に選出。退職後、約20カ国を旅し、2018年に株式会社ハッシャダイ入社。2020年、一般社団法人HASSYADAI socialを設立し共同代表理事に就任。

中卒・高卒の若者たちの可能性を打ち上げたい

三浦さんが、同志である勝山恵一さんと共に共同代表を務める一般社団法人HASSYADAI socialは、主に中卒・高卒の若者たちの未来を拓く支援をしている団体です。「HASSYADAI」とは、若者たちの可能性を打ち上げる「発射台」の意味。「動労人口の減少、未来への閉塞感がある中で、社会は可能性のある若者たちを生かし切れていない」と、三浦さんは語ります。

中卒・高卒の若者へ住まい・研修・仲間を提供するインターンシップ・プログラム「ヤンキー・インターン」を実施したり、全国の高校や少年院などへ出向いて「人生は自分で選べる」をテーマに講演をしたり、18歳の成人を祝うフェス形式の「18歳の成人式」を開催したり……。HASSYADAI socialは、さまざまな形で若者の背中を押す活動を展開しています。

「人とのつながり」を糧にして、生きられる環境づくりを

三浦さん自身、高卒で自動車工場に勤め、大学へ行く人たちを「いいな」と思っていた頃があったそうです。自分の人生を選べることを想像できず、希望が持てない10代を過ごしていた時期でした。それを変えてくれたのは、高校時代の先生がくれた「まわりは勝手に変わってくれないから、自分で変えるしかない」という言葉だったのです。

ある時、家庭環境に恵まれなかった同級生が自ら命を絶ちました。「彼と自分の違いは何だろう?」と考えた時、「人とのつながり」しかないと確信。「自分は運が良かっただけ。そんな自分たちにできることとは?」と自問自答しながら活動しているといいます。自分のプライドよりも大切にしたい「関係性」さえあれば、辛くてもふんばれる。若者たちの発射台になるべく、三浦さんの熱い活動は続きます。

 

■洞田貫 晋一郎(Shinichiro Dodanuki)/SNSプランナー

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profile
1979年東京都生まれ。2006年森ビル入社。2015年より森美術館でプロモーションとSNSを担当し注目を集め、総フォロワー85万超を実現。2024年に起業し企業SNSを幅広くサポート。Forbes JAPANインフルエンサー50選出(2019年・森美術館)、著書『シェアする美術』(翔泳社)。

85万人超のフォロワー数を獲得した、SNSの「中の人」

「最近、美術館へ行っていますか?何を見ていきますか?」と、会場の参加者たちにたずねた洞田貫さん。おそらくほとんどの人が、SNSで展示内容などをチェックして足を運ぶはずです。洞田貫さんは、六本木ヒルズ森タワーの53階にある森美術館をはじめとする企業や団体などのSNS運営をサポートする事業を展開しています。

もともと森ビルに勤めていた洞田貫さんは、思いがけず森美術館へ配属になり、SNS担当を任されました。「アートにはあまり興味がなかった」ところから、85万人超という日本の美術館の中でもトップクラスのフォロワー数を誇るまでに、森美術館のSNSアカウントを魅力的に変革させたのです。SNSは、今や来場のきっかけとなる「最も大きなエンジン」だといいます。

「デジタル種まき」で、未来の来場者を増やす

洞田貫さんが語るSNS運用のターゲット設定は、少し意外です。美術に興味がある人へ熱心に訴求するのかと思いきや、美術館に興味がない人(ライト層)に向けた情報発信に注力しているのだそう。すぐには来場に結びつきませんが、「いつか行きたい」と思わせることが重要とのこと。

金沢21世紀美術館など、他の美術館とタッグを組んで情報発信したり、TikTokで海外の美術館とコラボレーションしたり、館長が登場するライブ配信をしたり……。口コミを盛り上げるために、来場者へハッシュタグをつけてSNSで配信してもらう仕掛けも。こうした地道な施策の積み重ねを、洞田貫さんは「デジタル種まき」と呼びます。未来に花を開かせるための努力は、これからも続いていきます。

 

■村上 茉莉(Mari Murakami)/株式会社Chocolate 代表

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profile
長崎県出身。高校・大学時代をアイルランドで過ごし、大学院修了後にはブラジルへも単身渡航。コンサルティングファームでの経験を経て、女性の健康課題に取り組むスタートアップで役員として事業を統括。現在は「もったいないをデザインする」をミッションとする株式会社Chocolateを立ち上げ、事業やブランディングに取り組んでいる。LGBTQ+の啓発活動にも取り組み、新しい選択肢を世の中に届けている。

女性が抱えるさまざまな課題を、事業によって解決したい

村上さんが代表を務める株式会社Chocolateが目指すのは、社会課題の解決を通して「もったいないをデザイン」すること。女性向けウェルネス事業のプロデュース、インクルーシブな生活環境や労働環境のデザイン、プロダクトやサービスへの落とし込みといった、企業戦略とクリエイティブを支援する事業を展開しています。

大きな転機は、大学院で学んでいる時に、自身が同性にも恋愛感情を抱くようになったこと。それによって、「より女性の健康課題に注目するようになった」と話します。さらに社会人になってコンサルティングファームに勤め、女性のキャリアと家庭を両立の難しさを感じたことも村上さんの心を動かします。「女性の健康課題の解決に貢献したい」と、フェムテックのスタートアップに転職し、多くの事業に携わりました。

未知に出会い、当たり前を疑うことで見えるものがある

転職先では、これまでほとんど語られてこなかった課題を可視化する事業も展開。例えば、視覚障がいのある女性は下着についた汚れが見えないため、生理の時の出血量などを自身で判断できません。「知らなかったことがたくさんある」と、情報のシェアや啓発活動に積極的に取り組みました。

そして、「もっと変化を加速させていく必要がある」と考え、起業。ウェルネス分野を中心に、地方創生、事業承継、海外でのものづくり、アーティストのプロデュースなど幅広く事業を拡げています。出会いを通して「当たり前」を疑い続ける。それが村上さんのこだわりであり、強みです。当たり前を疑った先に見えてくる可能性を、追い続けます。

 

■佐藤 真矢(Shinya Sato)/株式会社TRINUS 代表取締役

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技術者の父と芸術家の母のもとに生まれる。早稲田大学商学部を卒業後、大和証券SMBC(現・大和証券)、経済産業省(出向)、アクセンチュア戦略グループなどを経て起業。現在は「枝もの定期便」などを展開するライフスタイルショップ「SiKiTO(シキト/四季との意)」を運営。著書に『四季の枝もの』(河出書房新社)がある。

日本には、目を向けられていない多くの資源がある

「世の中の仕組みを変えるようなことをしたい」と考え、金融、コンサルなどで経験を積んできた佐藤さん。そして、「日本の資源をもっと生かしていきたい」との思いが芽生え、独立して起業する道を選びました。そして取り組んだのは、中小企業の技術を輝かせる事業。廃棄古紙を活用した、削りカスが花びらのように見える「花色鉛筆」や、印刷技術を用いた、絶滅危惧種のスキンを再現したブックカバーなど、アイデアが光る商品を中小企業と共に開発し、世に出しました。

ここ数年で注力しているのは、樹木の「枝」をおしゃれに飾るライフスタイルの提案です。「SiKiTO」という枝ものに特化したブランドを立ち上げたのです。花と比べて枝はとても長持ちするため、飾りやすいといいます。

「枝もの」を通して価値を生み、地域課題にもアプローチ

枝ものは長くて重いので、普通の花器に入れると倒れてしまうことがあり、その課題を解決すべく枝もの専用の花器「EDA VASE」をプロデュース。想定以上のヒットを記録しました。そして「欲しいけれどなかなか売っていない」、「大きいから店から持って帰るのが大変」との声を聞き、季節の枝ものを届けるサブスクをスタート。ユーザー数は1万人ほどにものぼります。

森林組合と提携し、これまでは捨てられていた小さな木々の仕入れも開始。廃棄物を価値あるものへと変化させました。「地域の農業、林業などを、デザインやクリエイティブの力で必要とされるものに転換するのが私たちの使命」と佐藤さん。11月下旬から麻布台ヒルズで行われるクリスマスマーケットにも出店予定とのこと。枝ものが気になる人は、足を運んでみては。

 

■クロストーク
プレゼンの後は、登壇者4名+MCが自由に語り合うクロストークの時間。アーカイブには残されないトークの様子を、ちょっとだけお届けします。 

全員のプレゼンを聞き、村上さんは「皆さん、まわりの人をまきこんで形にするのが上手な気がする。コツを聞きたい」と他の登壇者に質問します。これに対して佐藤さんは、「実は得意じゃないんです」と前置きしつつ、「楽しそうにやっていると、自然と関わってみたいと思ってくれるのかも」と経験を踏まえて答えます。 

洞田貫さんは、「森美術館のSNS担当者をやれと言われたとき、会社の中でずっとスマホをさわっているので、サボっていると思われるんです」とかつてを振り返ります。そして、「資料作りを頑張るとか、バズった投稿などを積極的にまわりに伝えるといった努力をしてきた」とアピールすることの大切さを語ります。

三浦さんは、「バスツアーよりもバックパックの旅のほうが、人のやさしさに触れられやすい」と、独自の例えをまじえて答えます。これは、人は同じように困っている誰かに出会った時、複数でいるよりも1人でいる人に対して、手を差し伸べやすいものだという意味。だからこそ、「身を投げ出すと、奇跡的なことに出会いやすい」。三浦さんの言葉に、会場の参加者たちは、孤独を恐れずに前進することの大切さを感じ取っていたようです。

 

■参加者コメント

ここで、会場に足を運んだ参加者の声をお届けします。

2回目の参加です。前回も思いましたが、よくこんなにも魅力的な登壇者を見つけてくるなと感心します。活躍しているけれど、そこまで知名度の高くない人たちなので、話の内容がとても新鮮です。新しい出会いをいただけるイベントです。
50代・会社員) 

◎ヒルズアプリでイベントの存在を知り、今日は2回目の参加です。印象に残ったのは、クロストークで三浦さんが話していた、「バックパッカーには、奇跡的なことが起きる」という話。普段、1人で働くことはありませんが、この先、何か1人で挑戦することになったら、この言葉を思い出せば前向きになれそうです。
30代・国家公務員) 

◎洞田貫さんの「デジタル種まき」の話が心に残りました。テクニックや目先のことにとらわれずに、先を見て周囲へ連鎖させていく強みが素晴らしいと思います。比較的、参加者の年齢層が高い印象ですが、ぜひ若い人に来てほしいですね。短い時間で1人の人生とリンクできるような濃い話が聞けて、いろんな生き方を学ぶヒントを得られるはずです。
30代・セラピスト)

次回は、1113日(木)朝8時より虎ノ門ヒルズステーションアトリウムにて開催します。登壇者のプロフィールや申し込み方法などはこちらから。

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