15周年スペシャル回の開催レポートが到着! プレゼン動画は登壇者ページから!

虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムで7月25日に開催された155回目のHills Breakfastは、満15周年の記念回。「15」にちなんで、15歳の登壇者が3名と、15歳から活躍している登壇者が2名、プレゼンをするスペシャルな回でした。夏休み期間中の夜開催とあって、親子の参加者もちらほら。5名の登壇者の話に、熱心に耳を傾けていました。

■レウォン(rewon)/ラーニングイノベーター

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(株)polarewon CEO。現在15歳。小学生で「元素カルタ」を考案開発商品化。「漢自 mission」で堀江貴文氏からプレゼン力圧倒的ナンバーワンと称賛。ご縁を大切に、明るく楽しく元気よく。学びの原点「知るって楽しい、学ぶって面白い!」を、全国巡り広めている。

自分が感じた楽しさを、遊びを通してみんなに届けたい

小学生の時に「元素」に出会い、世界のすべてが元素でできていることに衝撃を受けたというレウォンさん。元素の魅力をたくさんの人に伝えたい。そう考えて、遊びながら楽しく学べる「元素カルタ」を考案・開発して小学4年生の時に商品化したのです。例えば、「Bi」の元素記号で知られる「ビスマス」は、消火スプリンクラーや下痢止めなどに使われています。このように、日常でどのように使われている元素なのかを、カルタを通して知ることができるユニークな商品です。

他にも、現代版の漢字ドリル「漢字mission」など、自身の斬新なアイデアをもとにさまざまなことにチャレンジし、ある番組でホリエモンから絶賛されるという経験も。そして、「子どもである」ことを強みにして、会社を立ち上げることにしました。「自分の問題を解決することが、社会問題の解決につながるといい」。そんな想いで、事業を展開しています。

つまずいても、大丈夫。「もうちょっと」の気持ちで前を向く

メディアに取り上げられたり、イベントに呼ばれたりと順風満帆に歩み始めたものの、ビジネスの世界は厳しく、うまくいかないことが多かったといいます。そんな時に支えになったのは、応援してくれる人たちの存在でした。それから少しずつ調子を取り戻し、福岡県糸島市のまちづくり構想に参加したり、自社イベントや企業とのコラボレーションでイベントを開催したりと、活躍しています。

レウォンさんの行動の指針は、「言ってみる」「行ってみる」「やってみる」。失敗しても「こっちじゃなかった」と気付ければ、違う方法でチャレンジできる。そうやって、自分らしくやりたいことを貫き通しています。また、「失敗」という負のオーラがある言葉ではなく、「もうちょっと」の略語である「もちょ」を使っているとのこと。「もちょ」が流行って、チャレンジしやすい世の中になるといい。前向きなレウォンさんの言葉に、話を聞く多くの大人たちが勇気をもらっていました。

 

■水野 舞(Mai Mizuno)/株式会社マイヤリングス 代表取締役社長

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小学校5年生のときに耳につけないイヤリング「マイヤリング®」の特許を取得し、小学校6年生で株式会社マイヤリングスを創業。現在、中学校3年生でマイヤリング®に関する特許・商標・意匠と3種類の知的財産を保有・出願中。小児病棟の子どもたちにマイヤリング®を届ける活動、子どもたちのアイデア・発想を知的財産権等の形にし、社会に届ける活動「i育(あいいく)」事業も推進。

手作りのアクセサリーが、思わぬ発明品として花開いた

現在15歳の水野さんは、小学6年生で株式会社マイヤリングスを創業しました。きっかけは、小学2年生の時に母親がつけていたピアスに憧れて自分で作った、オリジナルのアクセサリー。ヘアピンに穴を開け、穴から装飾具を通し、髪の毛につけることでイヤリングやピアスに見えるアクセサリー「マイヤリング®」です。

子どもでも付けられ、ピアスやイヤリングと重ね付けでき、マスクにもひっかからない。父親に見せると、「これは発明かもしれない」と、小学5年生の時に国内の特許を取得しました。さらには国際特許も取得し、フィリピンとアメリカで商標登録を済ませ、意匠の出願もしているとのこと。マイヤリング®は、すべてハンドメイド。主にECサイトで販売し、取引先の店舗でも購入可能です。

アイデアを形にした自分の経験を、次の世代へつなげたい

プロサッカーチームや企業とコラボしてオリジナル商品を作ったり、洋服の端切れを再利用したSDGsアイテムを作ったりと、製作の幅が拡大中。自身が幼少期に入院をしていた経験から、小児病棟の子どもたちにマイヤリング®を届ける活動も行っています。また、なかなか形になりづらい子どものアイデアを、プラットフォームを使って広める「i育(あいいく)」事業も展開中です。アクセサリー作りから始まった取り組みが、多様な広がりを見せています。

開発当初、4種類だったマイヤリング®は、今は50種類を超え、バラエティ豊かに多くの人の日常を彩っています。「アクセサリーといえばマイヤリング®だと言ってもらえるくらい、認知を広めたい」と水野さん。挑戦はこれからも続きます。

 

■川中 だいじ(Daiji Kawanaka)/日本中学生新聞記者

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主に、選挙・大阪関⻄万博・IRカジノ・森友問題を取材日本中学生新聞として、XInstagramでの発信。note記事と不定期で紙の新聞を発行。文化放送『長野智子アップデート』や、YouTubeメディア『ArcTimes』『デモクラシータイムス』などにも出演。2025年春よりテレビ大阪ニュース YouTube『中学生記者・だいじの対談クラブ』配信中。

政治に興味を持ち、発信する立場へ。大人からの圧力にも負けない

現在15歳の川中さんは、自身が発行する「日本中学生新聞」の記者を務めています。始まりは、2020年。大阪都構想が話題になり、興味を持ったのがきっかけです。学校で友だちに都構想に賛成か反対かのアンケートを取っていたところ、教師から「学校で政治の話をしてはいけない」と言われます。それに反論すべく調べると、国政条約である「子どもの権利条約」で、子どもの意見表明権が保証されていることがわかりました。

政治的な発言をしてもいい、校則に物申してもいい。そうわかって、選挙の際、「お父さん、お母さんに選挙に行こうと呼びかけて」という内容の新聞を作りますが、また教師に「これは掲示できない」と阻まれてしまうのです。その後、修学旅行で訪れた広島で被爆者から「核兵器禁止条約の署名をしてほしい」との話を聞き、川中さんはこのことを当時の岸田首相に質問したいと考えました。

岸田元首相など政治家へ取材。民主主義の大切さを訴える

しかし、2023年に行われたG7広島サミットで「ぜひ質問を」と、記者として登録しようとしたものの、「学生だから、実績がないから」と言われて実現できませんでした。このことをSNSで発信すると、取材を受けたり、悔しい想いを書いてくださいと言われたりと、話題になります。その後は、大阪関西万博のレポート執筆、選挙時の大阪選挙区の候補者全員への取材など、記者として活動の幅を広げています。

そして、「念願だった岸田元首相への取材も叶った」と川中さんが話すと、会場からは自然と拍手が。最近は民主主義に関心を持ち、まずは理不尽な校則を変えようと奮闘しているという川中さん。「沈黙は罪」だと、声を上げることの大切さを訴えます。熱意と行動力のかたまりのような川中さんの姿に、参加者たちは心を打たれた様子。この日一番の歓声を浴びて、川中さんのプレゼンは幕を閉じました。

 

■椎木 里佳(Rika Shiiki)/株式会社AMF 代表取締役

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15歳で起業し、「女子高生社長」として注目を集める。JCJK流行語大賞を中心とした若者調査を始め、NHK中央放送番組審議会委員に最年少で就任。こども家庭庁こども家庭審議会委員として活動するなどZ世代の顔として各方面で提言をしている。

当時、前例のなかった15歳での起業。子ども社長の先駆けに

先に登場した3人の15歳の勢いに圧倒され、「今までの登壇の中で一番緊張する」と話した椎木さん。15歳の若者たちからバトンを渡され、話し始めたのは、「15歳のあなたへ」と題したプレゼンです。15歳で起業した椎木さんの半生を振り返りながら、大切にしたい想いについて語ってくれました。

小学生の時からやりたいことがあり、それをやる方法を父親に聞いたところ、中学1年生で「起業」という言葉を知った椎木さん。けれどハードルの高さを感じ、「大人になってからやろう」と先送りしたといいます。しかし、中学3年生で違和感が再熱し、普通の生活を送る自分に腹が立ったといいます。そして、「やっぱりやりたい!」と中3のクリスマスに行政書士へ起業の相談をするのです。

困難にぶつかっても、続けていくために必要な軸がある

しかし、中学生社長には実績がなく、成功の道が見えません。あらためて自分の強みを考えてみると、「大人よりも高校生の友だちがいる」と気が付き、それを生かしたビジネスを展開することに。テレアポは全滅、プレゼンは撃沈、ハラスメントに遭う……など辛い経験もしたといいます。そんな中、サイバーエージェントから最初の仕事をもらい、そこから数珠つなぎで仕事が広がっていったのです。

「若さはマイナス点ではなく、若いからこそ話を聞いてくれる会社もあった」と椎木さん。それから12年が経ち、JCJKなどZ世代調査の活動から、こども家庭庁関連の活動へと、仕事が少しずつ変わってきています。考えているのは、「次の世代にどうやって起業のバトンを渡すか」。違和感を大切にすること、嫌いなことを軸に好きなことをやっていくこと。この2つのメッセージを、椎木さんは次世代に届けます。

 

■菊原 志郎(Shiro Kikuhara)/サッカー指導者

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元日本代表サッカー選手。15歳の時に読売クラブ(現東京V)とプロ契約し、Jリーグでは東京V・浦和でプレー。引退後は指導者になり、日本サッカー協会やJクラブ・海外のアカデミーで育成年代の指導や指導者養成に関わる。著書の『育成の本質 ミニゲームで上手くなる』『サッカー・オフ・ザ・ボール』他。

親からの教えをしっかり実践。それがサッカーに役立った

15歳でプロ契約をし、初めて日本代表選手に選ばれた元プロサッカー選手の菊原さん。「天才」と呼ばれた裏側には、両親の確固たる子育て論と、自身のたゆまぬ努力がありました。両親が実践したのは、「自律」、「文武両道」、「志」を軸にした子育て。「自律」については、「何でも自分で考えて判断しなさい」と日頃から言われていたといいます。

「スポーツと勉強をどちらも一生懸命にやりなさい」との教えから、先生の話をきちんと聞く。授業の内容を2分でまとめて話してみる。こうした「文武両道」を心がけていたそうです。「志」は、菊原さんの名前にも使われている言葉。志を見つけるために、たくさんの遊びやスポーツをやっていたことが、サッカーに役立ちました。例えば、11の攻防は空手、バランス感覚はスキー、論理的な判断力は将棋から得た能力です。

トップクラブでの学び、日本代表での経験から得た財産

それに加えて、菊原さん自身が徹底したのは、足技がうまくなるための技術の練習。階段を昇り降りしながらドリブルをしたり、壁に向かってシュート練習を反復したり。この積み重ねが大きな転機を引き寄せます。10歳の時、読売サッカークラブにスカウトされたのです。世界を目指す強豪サッカークラブで、目で見て・肌で感じて・頭で考えて・体で覚える。そうやってスキルを磨いていきました。トップチームの選手が身近にいる環境で練習することで、次第に意識も高まっていきます。

国歌斉唱をし、胸には日の丸。若い時に国を背負って戦う経験した菊原さんが語るのは、「スポーツは心身を健全にし、人生を豊かにする」、「サッカーは少年を大人にし、大人を紳士にする」との言葉。多くの子どもたちに指導する立場として、この想いを胸に、サッカーの魅力を伝え続けていきます。

 

■クロストーク

プレゼンの後は、登壇者5名+MCが自由に語り合うクロストークの時間。アーカイブには残されないトークの様子を、ちょっとだけお届けします。

MCから、「親から受けた影響は大きいですか?」との質問が。これに対して、それぞれが語りました。

レウォンさんは、「昔から工作が好きで、公民館で習ったものを家でも作ってみようと、母が一緒にやってくれていた。元素カルタの商品化の実現も、母が協力してくれたからできたこと。実は会社の名前には、母の名前が入っている」と話します。

水野さんは、「母がしていたピアスに憧れたのがきっかけだし、作ったものを世に出すために父が動いてくれた。何でも自分で決めるという教えがあって、選択の機会をたくさん与えてくれたおかげで、判断力、決断力がついたと思う」と、両親の影響の大きさを語ります。

川中さんは、「選挙があれば投票に行くための材料として、買い物ついでに演説を聞くなど、政治の話をタブー視するような家庭ではなかったのが良かったのかも」と回答。

3人の話を聞いて椎木さんは、「皆さん子ども扱いされていないのがいいと思う。小学生の頃からやりたいことを、親が一緒にやってくれたのが良かったでは」と感想を述べます。普段から指導を通して子どもたちとたくさん触れ合っている菊原さんは、「選手を取るときは、必ず親と面談します。親の影響によって、身に付く能力や習慣が変わってくる」と実感を伴った話が。

子どもの可能性を、どう伸ばすのか。親の立場で登壇者の話が身に染みた参加者は少なくなかったかもしれません。

 

■参加者コメント

ここで、会場に足を運んだ参加者の声をお届けします。

◎とにかく、15歳の3人の話し方が素晴らしく、大人のプレゼンよりもすごいと感じて感心しました。声質、目線、堂々としていて伝わりやすい。15歳にはもっとかわいいイメージがあったのでびっくりしましたね。負けてられないなとも思いました。椎木さんが話していた「嫌いなことも大切にする」という話が印象に残りました。
30代・会社員)

 ◎ヒルズアプリを見て、ちょうど夏休みだったのでいい機会だと思い、13歳の息子と参加しました。息子が聞くのと、私が親の立場で聞くのでは、受ける印象が違ったと思います。息子を今後、親としてどうサポートしたら、彼らのようにやりたいことを成し遂げられるんだろうと考えながら、聞きました。好きなことを自由にやらせながらも、適切に導いて、助け舟を出すことも大切なのだろうと感じました。
50代・会社経営)

息子さん「話し方のコツ、人を話に引き込ませるにはどうしたらいいか、プレゼンの勉強になりました」 

◎子どもがいるので、朝開催の際には来られませんが、今回は夜開催とのことで足を運びました。とても豊かな時間を過ごせて、もっと知られるべきイベントだと感じています。クロストークで「親の影響がありましたか」というテーマで話をしている時、きっとみんな親の顔を思い浮かべたはず。集まった人が、年齢関係なく親のことを考えている顔がいいなと思いました
40代・会社経営) 

◎インスタで開催を知り、レウォンくんの話を聞きたくて参加しました。彼のことはメディアで見て知っていて、実物に会うのは2回目です。いつ見ても明るいし、話もわかりやすいし、元気をもらいました。他の登壇者の話も、聞いていてワクワクするようなものばかりでした。アットホームで居心地の良いイベントですね。
40代・会社経営)

 ◎子ども向けの仕事をしているので、次の世代を支える子どもたちがどんなことを考えているのか知りたくて参加しました。レウォンさんは、すごくビジネス的に苦労をして、これまでやってきたのだろうという印象を受け、尊敬のまなざしで見ていました。カジュアルで楽しい、オープンなイベントだと感じたので、また足を運びたいですね。
30代・会社役員) 

 

次回の開催は、92日(火)朝8時より虎ノ門ヒルズステーションアトリウムにて。登壇者のプロフィールや申し込み方法などはこちらから。

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