2月の開催レポートが到着!プレゼン動画公開中!

記念すべき150回目のHills Breakfastは、226日に虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムで開催されました。80名近くの参加者が集まり、朝8時とは思えないパワフルな熱気の中、4名の登壇者がプレゼンを行いました。

現場で話を聞けなかった!という人は、それぞれのプレゼンをこちらの動画でチェックしてくださいね。

■伊藤 伴(Ito Ban)/登山ガイド

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小学4年の担任の影響で山の世界へ。中学3年でヨーロッパアルプス・モンブラン、高校3年でヒマラヤ・ロブチェイーストに登頂。大学3年では当時日本人最年少でエベレストに登頂。現在は登山ガイドとして活動しながら、国内外で四季を通してアウトドアフィールドで活動している。

富士山の倍も高いエベレストに、10代で登頂!

大学3年生の時、日本人最年少(当時)でエベレスト登頂に成功した伊藤さん。およそ8000mの場所から撮ったお気に入りのエベレストの写真を投影しながら、会場の参加者に「標高は?」「空気は?」「必要な登山期間は?」と、エベレストに関するクイズを出します。有名な山ですが、意外と良く知らないことに気が付きます。

標高は8848mで、富士山のおよそ2倍。国内線の飛行機が飛ぶくらいの高さなのだとか。そのため、空気は地上の3分の1ほどしかありません。「7000mを超えるとろくに呼吸もできず、寝る時も食べる時も酸素マスクが欠かせない」と伊藤さん。ワンシーズンで条件の良いベストな日は1~2日しかなく、その日に登山者が殺到するのだとか。

登る理由は人それぞれ。思い思いに楽しめばいい

伊藤さんが登山に興味を持ったのは、小学生の時。学校の先生が山好きで、一緒に登ったのがきっかけだそう。「両親以外の大人との出会いが、僕を変えてくれた」と話します。登山ガイドとして働くかたわら、子ども向けにサマースクールを開催しているのは、「自然を通して1人でも多く子どもに良い影響を与えたいから」とのこと。

自身が山に登る理由を、「ギャップを楽しむため」と語る伊藤さん。アナログとデジタル、不便と便利、人工と自然など、普段いる場所では味わえないギャップに惹かれるといいます。花が好きな人、挑戦することが好きな人など、ガイドとして案内する登山客の山の楽しみ方はさまざま。「扉の外はすべてアウトドア。自分なりのアウトドアの楽しみ方を見つけてください」と、参加者に呼びかけて、伊藤さんのプレゼンは幕を閉じました。

 

■遠藤 健(Ken Endo)/エナフォワード株式会社 代表取締役、ENEOS株式会社 中央技術研究所 技術戦略室 上席担当マネージャー
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オランダ駐在など、世界40か国を訪問し、多様な価値観や文化に触れてきた経験を活かし新規事業開発に従事。ENEOSの新規事業開発プログラムを通じて同社を起業し、現在はヒトにニッポンにペイフォワードのエネルギーを届けるべく日々奮闘中。

美容師は、人にエネルギーを届ける存在

仕事やプライベートで世界40カ国をまわる中で、人の好意が次へつながる「ペイフォワード」に魅了され、活動をしている遠藤さん。勤務するENEOSの新規事業開発プログラムとして、人にエネルギーを届ける、とあるプラットフォームサービスを運営しています。それは、ヘアサロンと顧客をつなぐ「ビーネ」というアプリケーション。顧客から美容師にスタンプや駄菓子の差し入れを贈って、感謝を表すことができ、相互の密なコミュニケーションによって、再来店率のアップや美容師のモチベーションアップにつながります。

このサービス誕生のきっかけは、遠藤さん自身が「髪を整え、未来へ向かう準備をしてくれる美容師の仕事は素晴らしい」と思ったこと。美容院では顧客は丁寧に扱われ、髪がきれいになると心も満たされる。美容師は、顧客に対してエネルギーを届ける存在なのです。

「ありがとう」の循環を生み、美容業界に良い変化を

しかし美容業界は、長時間労働や厳しい口コミ、高い離職率といった課題があり、それに対して「何かできないか」と考えたといいます。そしてある時、美容業界の現場で駄菓子が対話を生み、「ありがとう」というコミュニケーションが返ってくる体験をしたのです。「差し入れは日本人が感謝を示す手段の1つ」と遠藤さん。小さなことかもしれないけれど、その想いが現場の動きを変え、それがまたサービスに反映されて顧客に還される。そんな良い循環が生まれるのです。

ペイフォワードは御礼ではなく、してもらってうれしかったことを、次の人へ送る行為。美容師から顧客へ、美容師から美容師へ。「とかく比較されがちな世界だからこそ、目に見えないペイフォワードがエネルギーを届けると思っている」。遠藤さんは力強く語ります。

 

■小西 ハレー(Hare Konishi)/現代美術家、抽象画家
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都内で個展を開始し、2017年~ベルリンにて活動。帰国後からは蜜蝋等の天然素材や自然摂理に着目し、「人間の生」「観察と自己対話」「場に息づくもの」をテーマに絵画・インスタレーションの手法にて制作。蜜蝋ワークショップやクリエイティブリユースペイントも手がける。 

働きバチが体内で生成する「蜜蠟」を使って創作

現代美術家の小西さんは、「蜜蠟(みつろう)」を使ったインスタレーション作品を制作しています。蜜蠟とはミツバチの巣の材料で、働きバチが分泌するロウのこと。天然由来の素材として注目を集めていて、ワックスやキャンドル、スキンケア用品などに用いられています。

直近の作品は、和紙と蜜蠟を使って立体作品と空間とを融合させた『満ちる水瓶』と題するインスタレーション。「『満ちる水瓶』は、あなたの中に満ちるものは何だろうか?と問いかける作品です」と小西さん。また、蜜蠟を画材として用いた「蜜蠟画」を描くなど、蜜蠟に魅せられて、創作活動をしています。「蜜蠟画」は美術史最古の技法と言われていて、2000年以上も前から存在していたのだとか。

絵には目に見えない力がある。だから描き続ける

どうして絵を描いているのか、辞めることなく描き続けているのか。その理由を、小西さんはこう語ります。「人間の感情や行動は、箱に入れるようにカテゴリー分けをすることができない部分があると思う。そういうものを取りこぼさないように、受け止めるのが芸術なのでは? 絵はその中でも、私たちの生活のそばにあるもの。だから、創作をしています」。

また、絵が持つ独特の力についても、こんな風に話します。「人間は、今この瞬間に生を重ねるだけでいいはず。でも、それを見失ってしまいがちです。そんなときに肩をポンと叩いて気付かせてくれるようなものが絵です」。そして、「私の話を聞いて、少しでも自宅に絵を飾りたくなってくれたらうれしい」と小西さん。自身が主催する蜜蠟画のクラスもあるのだとか。描いてみたいと思った人は、小西さんのSNSをチェックしてみて。

 

■中村橋吾(Nakamura Hashigo)/歌舞伎役者・アーティスト。屋号 成駒屋 八代目 中村芝翫一門
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山形県鶴岡市出身。歌舞伎座を中心に国内外の劇場で幅広く活躍。「現代社会問題に挑む、かぶき者」をテーマにした創作歌舞伎の上演や、持ち前の和に根付いた感性を生かしたモダンアートやプロダクトデザインを手掛ける。

一般家庭から歌舞伎の世界へ。教えの全てが役に立つ

マイクを使わず、歌舞伎独特の口上のような自己紹介から始まった、中村さんのプレゼン。たったひと声で、会場は一気に歌舞伎の世界に引き込まれました。会場付近を通る通勤途中の人たちも、興味津々で目を向けます。中村さんは、世襲ではなく一般家庭から歌舞伎の世界に入ったのだそう。子どもの頃に見た歌舞伎に魅了されたのが、きっかけです。

「歌舞伎は人生を教えてくれる」と中村さん。常日頃、師匠らから口を酸っぱくして言われた「普段が大事、普段が舞台に出る」との言葉。これは歌舞伎の世界だけでなく、ビジネスや物事に向かう姿勢につながっていくものです。「耳肩腰は一直線」とは、姿勢の正し方。これを意識するだけで、スッと姿勢が整うのだから不思議です。

役者=役に立つ者。社会問題をテーマに創作歌舞伎へ挑戦

コロナ禍で舞台に立てない日が続き、「役者としてどう生きるか苦悩した」と中村さん。そんな中で、「役者とは、役に立つ者。であれば、世の中の役に立とう」との想いを抱き、行動を起こします。それは、現代の社会問題をテーマにした創作歌舞伎への挑戦です。例えば、水族館を舞台にした、海の環境問題を提起する歌舞伎作品の上演。プロジェクションマッピングとコラボレーションし、歌舞伎に対するハードルの高さを軽減して、誰にでもわかりやすい作品に仕上げました。

中村さんいわく、「歌舞伎には、伝える力がある」。声の出し方も衣装も化粧も、見る人を惹きつけるもの。だからこそ、社会問題を訴えるのにはぴったりの手法なのです。「伝えることが好き。歌舞伎が発するエネルギーが好き。やればやるほど、おもしろくて、深い」。そんな歌舞伎の魅力と、誰もが知るべき社会問題を引っ提げて、中村さんの挑戦は続きます。

 

■クロストーク
プレゼンの後は、登壇者4名+MCが自由に語り合うクロストークの時間。アーカイブには残されないトークの様子を、ちょっとだけお届けします。

それぞれのプレゼンを聞き、「みなさんそれぞれの立っている場所と、社会環境、人との循環を感じた」と小西さん。また、自身の作品をかけて「みなさん満ちてるなぁと思った」と話します。中村さんは、「“世の中に発信する”という点で共通項を感じました。それぞれがそれぞれに文化を発信していますよね」と、感想を語ります。

伊藤さんは、子ども向けのサマースクールで蜜蠟の作品を作ることもあるそうで、小西さんと一緒に「何かやれたらいいですね!」とご縁が生まれていました。遠藤さんは、「ありがとうと言った側が救われることがある。これは、高齢化社会においても大切なもの。日本から世界へそれをつなげたい」と今後への想いを述べてくれました。

 

■参加者コメント
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ここで、会場に足を運んだ参加者の声をお届けします。

●虎ノ門ヒルズに一度来てみたくて、リサーチしたらHillsBreakfastを発見。プレゼンを聞くのが好きなので、足を運びました。4人の登壇者は皆さん、型にとらわれない生き方をしていて、とても刺激を受けました。伊藤さんが話していた「外に出たら全てアウトドア」という言葉に、毎日平凡な日々を過ごしているけれど、もっと解像度を上げて視野を広げてみれば、世界の見え方が変わるかもしれないと思わされました。

40代・会社員)

●友人に誘われて初めて参加しました。プレゼンのスライドできれいな山の風景やアートなどを拝見して、朝から心が洗われた気がします。虎ノ門ヒルズは森ビルが手掛けているからこそ、大人っぽさや高級感があってとても良いですし、ステーションタワーホールというこの開放感のある場所でのイベントというのもユニーク。通勤客がたくさん通っていましたが、あまり気にならず、プレゼンに集中することができました。

40代・自営業)

●虎ノ門ヒルズで働いていて、今回は3回目の参加です。前回のHillsBreakfastで近くに座った女性と知り合って、この間、近くでランチをしたんですよ。HillsBreakfastを通してコミュニティが広がり、とてもうれしいです。登壇者の皆さんはどなたも魂を感じる活動をしていて、いつも話を聞きながら涙がこぼれそうになります。

40代・理容師)

次回の開催は、331日(月)8:00~。場所は虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムです。登壇者のプロフィールや申し込み方法などはこちらから。

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