1月の開催レポートが到着!プレゼン動画公開中!

122日に開催された149回目のHills Breakfastは、夜開催のスペシャル版。20時~虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムでいつものプレゼンスタイルで登壇者のトークを聞いた後は、近くに東京タワーが見える素敵なロケーションのTOKYO NODE CAFÉで新年会を実施しました。

現場で話を聞けなかった!という人は、それぞれのプレゼンをこちらの動画でチェックしてくださいね。

■遠山 啓一(Keiichi Toyama)/株式会社CANTEEN代表
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profile
ロンドン大学SOASで修士課程修了後、帰国。広告代理店でプランナーとして勤務する傍ら、国内外で都市文化や音楽に関するリサーチプロジェクトを展開。2019年にCANTEENを設立。音楽アーティストのマネジメント他、アートやクリエイティブに関わる事業を複数行っている。 

普通とは違うからこそ、新しい世界が見えてくる 

トークテーマは「綺麗にやることで失われること」。遠山さんは、アーティストをマネジメントする仕事をしています。「僕が普段接しているアーティストは、時間通りにミーティングに来たり、電車に乗って通勤したりできない人たち」と遠山さん。そんな彼らと、いわゆる“普通の人”とはどう違うのか? そう考えて、『ASD(自閉症スペクトラム)の感覚世界―健常と障害の距離―』という論文を読んだといいます。

そしてたどり着いたのは、自身の仕事であるアーティストマネジメントとは、彼らができない・やれないこと自体をビジネスにすることだという想い。彼らの生き方を尊重するからこそ、「普通とは違った世界の見え方、アプローチが見えてくるのでは?」と遠山さん。また、このことは単純に「多様性が重要だと言いたいわけではない」とも主張します。

違和感と次世代、個性を大切に生きてこそ未来は開ける

日本には、あまりにも完成し過ぎた商習慣が根付いていますが、「綺麗にビジネスをすることによって、発展が阻害されているもの、失われている機会が多いのでは?」と遠山さん。変わらないといけないのに、変われない。経済がどんどん落ち込んでいる日本が陥っているのは、そんな状況なのです。

最後に、参加者たちに3つの考え方を持ち帰ってもらいたいと、メッセージを投げかけます。1つは、直感に目を背けないこと。2つめは、今のやり方が次の世代にとって良いものなのか?を考えながら働くこと。3つめは、小さくてもいいから、自分にしかできないことをすること。AIにはできない仕事には価値があり、アーティストはそれを体現している人たちなのです。「綺麗にではなく、もっとごちゃごちゃ仕事をしよう」。遠山さんの言葉に気づきを得た参加者は多かったようです。

■小国 士朗(Oguni Shiro)/株式会社小国士朗事務所 代表取締役
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profile
2003年~NHK2018年~現職。スマホアプリ「プロフェッショナル 私の流儀」。認知症の人がホールスタッフを務める「注文をまちがえる料理店」。にわかファンという言葉を生んだ「丸の内15丁目」。みんなの力で、がんを治せる病気にするプロジェクト「deleteC」など。

「大切なこと」を、どうすれば届けられるか?

NHKの番組制作ディレクターで、現在はフリーで活躍している小国さん。「Tele=遠くにあるもの。vision=映像に映す」という言葉を掲げ、ずっとこれだけをやりたくて活動していると語ります。“遠くにあるもの”とは一体何なのか。それは、誰も見たことがない風景や価値のこと。「大切なことは届かない、届かないものは、存在しない。」これが小国さんの原動力です。世の中に知らしめたい大切なことをどれだけ取材しても、なかなか広く届けず、もどかしい思いをしてきたといいます。

そんな小国さんの代表的な活動の1つが、『注文をまちがえる料理店』。認知症のスタッフが働き、オーダーを間違えても忘れても、誰も怒らない。そんなレストランです。この企画は話題になり、世界150カ国以上に活動が広まったのだそう。

ビジョンがあれば素人でもイノベーションを起こせる

また、高齢者が地元のサッカークラブのサポーターになる『Be supporters!』も小国さんの企画。支えられる場面が多い高齢者が、支える側になると、価値ががらっと変わるのです。現在は250を超える施設で、1万人の高齢者がサポーターになっていて、中には86歳のおばあちゃんがイニエスタを好きになって、スペイン語を習い始めた例も。ガンをテーマにした『delete C』というプロジェクトは、Cの付く企業名や商品名から、「cancer(ガン)」を表す頭文字のCを消すというもの。Cの削除された特別なパッケージを購入すると、ガン治療研究の応援ができるのです。

信念は、「中途半端なプロよりも、熱狂する素人の方がイノベーションを起こせるはず」。だから小国さんは、肩書きがない名刺を持って、日々自身のビジョンを信じて行動を起こしているのです。

■川田 十夢(Tomu Kawada)/開発者・AR三兄弟 長男
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通りすがりの天才。ひみつ道具『コエカタマリン』、作詞『文明単位のラブソング』、書籍『拡張現実的』『AR三兄弟の企画書』、雑誌『学研の科学』『WIRED』、J-WAVE INNOVATION WORLD』毎週金曜20時から。WOWOW番組審議委員。BUCK-TICK 

ARとアイデアを武器に、他分野で活躍中!

もともと、ミシンメーカーでシステム開発の仕事をしていた川田さん。10もの特許を取る優秀な開発者で、後に社内で「AR3兄弟」という開発ユニットを結成し、社内外の広告、システム開発、特許発案、展示会プロデュースなどに関わっていました。活躍が話題を呼び、多くのメディアで引っ張りだこに。ARはテレビと相性が良く、音楽番組やバラエティ番組などでAR技術を応用した企画を展開することも多いそうです。

音楽ライブともとても親和性のあるAR。展示やライブをARで拡張する、ミュージシャンとコラボレーションも多数。最近は、BUCK-TICKというバンドの武道館ライブの映像演出を手掛けているとのこと。その他、パリコレで拡張現実をテーマにしたファッションショーを実施するなど、活躍の場は非常に多様です。

ドラえもんの道具が現実に? まだないものを生み出す

凡人には浮かびようもない、奇想天外なアイデアを次々と形にしてきた川田さん。「ゲームやアニメの中にしかまだない機能を、現実に実装しようとすることが多い」と話します。『ドラえもん ひみつ道具大事典』を読んで、実現できそうなものに片っ端から付箋を貼ったところ、200個近くの数になったのだそう。そのいくつかは、すでに川田さんの手によって生み出されています。

「現実的ではないけど、拡張現実的」と本人が語る、川田さんのアイデアに触れてみたいのなら、創作のアイデアやエッセイなどがまとめられた著書『拡張現実的』や、雑誌『WIRED』での連載、J-WAVEで毎週金曜20時~放送中の川田さんがナビゲーターを務めるラジオ『INNOVATION WORLD』などを、ぜひチェックしてみて。

■クロストーク
プレゼンの後は、登壇者3名+MCが自由に語り合うクロストークの時間。アーカイブには残されないトークの様子を、ちょっとだけお届けします。

MCが、「これからやりたいことは?」と問うと、小国さんは「今おもしろいと思ってるのは、銭湯」と話します。原宿のど真ん中にできた銭湯をプロデュースしているのだそう。「どの家にも風呂がある現代に、銭湯という無駄なものが、しかも原宿にある。遠山さんが言った、綺麗すぎることではなくて無駄や余白を大切にすることにつながるのでは」。

それを受けて遠山さんは、「あってもよくない?という精神的、金銭的な余裕が必要だと思う。僕は自分たちがやりたいことをやれるように、経済が落ち込む中でも、お金を稼ぎたい」と語ります。

川田さんからは、「昔、古い銭湯へ出かけたら、上流から真っ白い液体が流れてきた。パッと見たら、身体中真っ白な男たちがいて…」と、謎の経験談が。そして、「浸かるだけではなくて、ちょっとしたエンタメ要素がある風呂ならおもしろいかも。まだ余白があるのでは」と、銭湯の可能性を話します。

全く違うようで共通点のある3人のトーク。話に花が咲く中、お開きの時間となりました。

■参加者コメント
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◎ヒルズアプリでよく見ていて、参加したいと思っていました。今回、新年会もあるとのことだったので、思い切って初参加です。小国さんが話していた「熱狂する素人」という言葉が印象的でした。Hills Breafastはいろんなジャンルの人の話が聞けて、ユニークなイベントだと思います。次は朝の回にも来てみます。
40代・会社員)

Hills Breafastはテレビで見たことがあって、ずっと来てみたいと思っていて。普段の生活の刺激になればと、今回初めて参加しました。遠山さんの話にあった、綺麗に生きることに対して疑問を投げかけるというテーマが、気付きになりました。他の皆さんも響く言葉が多かったです。近くに座った参加者とも話ができて、1人で来ても大丈夫なイベントなのだなと思いました。
30代・起業家) 

◎以前に何度か来たことがありましたが、虎ノ門ヒルズでの回は初参加です。場所が変わったことと、新年会もあるとのことで来てみました。遠山さんの「違和感に目を背けない」という話に、感じたことと向き合うことの大切さを気づかされました。Hills Breafastはトークを聞きに来るのは、刺激を求めている人たちだと思うので、そういった人と交流できるのも良いところですね。
30代・求職中) 

記念すべき150回目となる次回は、226日(水)8:00~、虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウムで開催です。登壇者のプロフィールや申し込み方法などはこちらから。

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