9月の開催レポートが到着!プレゼン動画公開中!

912日に開催された146回目のHills Breakfastは、プチスペシャル回として夜開催となった前回に引き続き、虎ノ門ヒルズステーションタワーに場所を移して行われました。「六本木ヒルズで実施していた時は来られなかった……」という人も、たくさん足を運んでくださり、およそ7割が初参加。朝から熱量が多めの登壇者たちのプレゼンに耳を傾けました。

現場で話を聞けなかった!という人は、それぞれのプレゼンをこちらの動画でチェックしてください。

■木島 大介(Daisuke Kijima)/株式会社博展 EXM事業ユニット#2 ユニット長、TOKYO NODE LAB 参画プロデューサー

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【profile】
人は見聞きしたものの30%ほどしか覚えてないが、体験したことの90%は忘れない。マスメディアが見聞きするものだとすると、体験は3倍の価値になる。そんな信念を持って日々体験価値を追い求めるイベントプロデューサー。株式会社博展にてtoC企業を担当する事業責任者を担当。兼TOKYO NODE LAB参画プロデューサー。

記憶に残りやすい「体験」には、大きな可能性がある

虎ノ門ヒルズステーションタワー45階には、イベントホールやギャラリー、レストラン、などが複合した情報発信拠点「TOKYO NODE(東京ノード)」があります。ここでの新しい都市体験を創出するプロジェクトを手掛けているのが、株式会社博展の研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」。木島さんは、その参画プロデューサーを務めています。

同社は、エクスペリエンス・マーケティング、すなわち体験をつくることに特化した会社。木島さんは以前に携わったNIKEのイベントで、感動のあまり泣き崩れるほど「体験」というものの価値を感じたのだそう。それを原体験として、多くの人へ忘れられない体験を届けたいと邁進しています。「人は読んだことの10%しか覚えていられないが、体験したことの90%は忘れない」というキッザニア創業者のロペス氏の言葉を借り、「体験」のポテンシャルの高さを語ります。

虎ノ門を舞台に、新しい体験を生み出すプロジェクトを進行中

TOKYO NODE LABでは、現在、「虎ノ門サボタージュ」のプロジェクトが進行中です。これは、木島さんを始め、博展のメンバーが街をくまなく歩いて感じた「虎ノ門にはサボっている人が多いのでは」との仮説から生まれたもの。「サボるというとネガティブに聞こえますが、仕事の生産性を上げるために大切なものなのでは?」と木島さん。

展示やワークショップなどを行うイベントを展開予定で、「ぜひ遊びに来てください!」と呼びかけます。最後に語ったのは、「僕らは広告代理店になりたいわけではない。体験の価値を届け続けたい」との言葉。自らが体験に魅了された木島さんだからこそ、生み出せる体験がきっとあるはずです。


■永井 菜月(Natsuki Nagai)/株式会社ニューロマジック取締役兼執行役員

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【profile】
多様性への関心から、上智大学大学院で米国のマイノリティコミュニティを研究。異業種に就職するも、2021年にはNYで出会ったサンドイッチから多様性を考えるZINE「Sammys」の日本語版を自費制作。これが契機となり、事業の成長とDEI双方を管掌する取締役兼執行役員に。

ジェンダーギャップの解消を、少しでも早めたい

学業の場、そして仕事とプライベートの場で「多様性」について学び、実践してきた永井さん。日本はジェンダーギャップ指数のランキングで118位(2024年)という、多様性の実現において世界で下位を争っている国。このジェンダーギャップを解消するには、134年、約5世代もの時間がかかると言われているのだそう。「これを1年でも短くするために、今日ここで話します」と、強い想いを持って登壇してくださいました。

永井さんが多様性に関心をいだいたのは、2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件がきっかけ。メディアで悪とされていた、ムスリムの宗教文化やコミュニティに興味を持ったといいます。また、自身がうつ病を経験し、弱い立場になったことも、弱者を置き去りにしないインクルーシブな社会実現に興味を抱いた大きな理由です。

当事者の声を尊重し、何ができるのかをとことん考える

多様性を語る上で永井さんが大切にしているのは、「当事者のための議論になっているか?」と考えること。自身の経験から、なかなか声を挙げづらい弱者を守るには、制度化や明文化が必要だとも話します。

また、他者がどんな日常を生きているかを知ることは、日常を豊かにし、エンパワーメントされると考え、パーソナルストーリーの言語化、可視化も重要だと語ります。そう考えたのは、NYで出会ったある本の影響でした。さまざまな立場や職業、国籍の人が普段食べているサンドイッチを紹介し、食を通した多様性を描いています。作者にメールで直談判し、日本語版の制作にこぎつけたのですから、永井さんの熱量の高さがわかるでしょう。意志の強さと類まれな行動力を武器に、D&Iな社会をつくるため、邁進し続けます。

■疋田 万理(Mari Hikita)/株式会社SPICY 代表取締役CEO

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【profile】
1989年生まれ。名古屋出身。早稲田大学商学部を卒業し、外資系スタートアップからキャリアを始める。メディアスタートアップへ転職し、複数の事業立ち上げや採用、経営に携わる。上級執行役員・編集長を経験。TEDxやNHK特番、TBS朝のレギュラー出演など。2019年に起業。

意思を持った検索から、AIによるレコメンドの時代へ

冒頭で「みなさんは毎日、どのくらいインターネットで検索をしていますか?」と、会場の参加者に尋ねた疋田さん。なかには、検索数ゼロという人もチラホラ。全く検索をしないということは、AIによるアルゴリズムでレコメンドされた情報だけで、物事を判断している可能性がある。その状況を危惧して、疋田さんは「検索しない時代に抗う」を主張します。

かつては調べたいことを自分で入力するキーワード検索が主流でしたが、そこから時代はハッシュタグ検索へと移り、昨今は「あなたが好きなものはこれですよね」と、先回りしてAIが情報を差し出してくれるようになっています。「技術が進化するにつれ、仮説力や想像力が下がってくる」と、疋田さんは語ります。

AIに操られず、自分が脳のオーナーとして意思決定する

そうならないために、私たちにできるのは、「選択肢にないことを考える」、「オンラインにないものを求める」、「AIとの境界線を考える」の3つだと、疋田さん。食事に行く店をAIが提案してきたとしても、あえてそれに従わず、タクシー運転手においしい店を聞いてみる、オンライン上ではなくリアルで人と会う機会を大切にする。

AIが提供する情報は、全て正しいかと言ったらそんなことはなく、まだ安全面や倫理面で不安定なところがあります。AIに操られるのではなく、自分が脳のオーナーとして意思決定をする。その意識を私たちは忘れてはいけません。「その選択は、自分の意思なのか?」いつも思考をメタ認知して、AIとうまく付き合うことが、これからの時代に求められる大切なスキルなのです。


■川路 武(Takeshi Kawaji)/Goldilocks 代表取締役 CEO

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【profile】
1974年鹿児島生まれ。上智大学経済学部卒業後、1998年三井不動産入社。官・民・学が協業するまちづくりプロジェクト「柏の葉スマートシティ」や新しい働き方を提案する法人向けシェアオフィス「ワークスタイリング」を立ち上げる。011年にはNPO法人「日本橋フレンド」を立ち上げ、次の100年を見据えた日本橋でのまちづくり活動を行う。2022年に24年勤めた三井不動産を退社し、新たに「半径100mの人と人をつなぐ」ことをミッションとした株式会社Goldilocksを起業。座右の銘は「それもあり」

「人と人をつなぎたい」その想いで脱サラし、起業

前日に自主リハーサルをしたところ、「20秒でスライドが変わっていく方式では、うまく話せないと気付いた」と川路さん。「パッションで話しますので、よろしくお願いします!」と、プレゼンがスタートしました。川路さんは、周囲の反対を尻目に24年間勤めた大手企業を辞め、2022年に株式会社Goldilocksを起業したばかり。同社のミッションは、「半径100mの人と人をつなぐ」です。

「人と人とのつながりが全ての根幹で、全ての幸福につながる」と語る川路さん。その原体験は、自身の幼少期にありました。川路さんの母親は、病児保育などない時代、近所中の子どもを預かっては世話をしており、川路少年は常時10人ほどの子どもたちと一緒に過ごし、成長したのだそう。

多くの社会課題は、人同士のつながりで解決できる

顔見知りと何気ない会話をするだけで、心が晴れる。友人が多いかどうかは関係なく、半径100m以内にいる人と気軽に話せる間柄をつくることが、幸福度を上げると科学的に証明されているのだそう。さらに、高齢者の見守りや犯罪防止など、「人と人をつなぐことで解決できる社会問題がたくさんある」と語ります。でも、人同士をつなぐのがなかなか難しいのも現状です。

その課題にアプローチすべく生み出したのが、アプリ「JIWAJIWA」。20問ほどの質問に答えると、興味関心がアルゴリズムでマッチングされ、職場や学校、同じマンションなどで話したことはないけれど気が合うかもしれない人をレコメンドしてくれます。リアルで対面するイベントも設計し、出会いを創出。希薄になっている、人同士のつながりを復活させる。そんな仕組みづくりに全力で向き合っています。

 

■クロストーク
それぞれのプレゼンの後は、4人の登壇者によるクロストークを実施。動画では見られない、トークの内容を少しだけご紹介します。

知らない人同士が口をきかないことが当たり前の世の中に対して、「同じ医者にかかっている人同士は、病院の待合室で、“なかなか治らないよね”とか“先生は◎◎だよね”とか話してもいいと思う」と、川路さん。
すると、疋田さんは「昨日、エレベーターの中で知らない人に“スカートが素敵ですね”と褒められたんです」と自身の経験を話します。
川路さんは、「それでいいんですよ。友だちになる必要はなく、街で気軽に声をかけ合えるだけでいい」と、小さなコミュニケーションの大切さを語ります。
木島さんは、過去にスキーのインストラクターをしていて、「知らない人とリフトに乗ったら、必ず話そうと決めていた」と、自分でルールを設けて会話をしていたのだそう。
永井さんは、コミュニケーションの土壌として、「自分が幸せであることが大事なのでは。満たされていないと他人に優しくなれない」と持論を語ります。

その他、さまざまなテーマで4人の話は盛り上がり、楽しく幕を閉じました。貴重なクロストークを全て聞くことができるのは、現地参加者だけの特権。ぜひ会場へ足を運んでください。

■参加者コメント
ここでいくつか、参加者の感想をご紹介します。

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◎知人がおもしろいよと話していたのを聞いて、初めて参加しました。体験の価値も、ジェンダーやD&Iも、人とのつながりもAIについても、全部興味があるテーマだったので、おもしろく聞くことができました。みなさんそれぞれにやっていることは違うけれど、近しいテーマを持って活動しているように思いました。とても満足度が高いイベントでした。
(50代・公務員)

◎職場の人にすすめられて初めて来てみました。自分で調べるのは、自分が興味のある分野だけになってしまうので、そうではない未知の分野の話を聞けたのがおもしろかったですね。知らない人同士が話すハードルが高い時代、山路さんの開発したアプリはとても良いツールだと思いました。周りの参加者と名刺交換などをして交流できたのも、良かったです。
(30代・会社員)

◎前から興味はあったのですが、駅で看板を見て虎ノ門ヒルズでの開催になったと知って、それなら来やすいなと初めて参加しました。どの話もおもしろくて、朝は苦手だけれど目が覚めて、全然眠くないですね。足を運ぶ前は、きゅうくつなイベントなのかと思っていたけど、フランクな雰囲気ですごく楽しかったです。
(40代・会社員)

次回の開催は10月16日(水)8時から。場所は今回と同じく、虎ノ門ヒルズステーションタワーです。登壇者の情報や申し込みはこちらから。

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