7月17日に開催された145回目のHills Breakfastは、虎ノ門ヒルズステーションタワーに会場を移して行われる初めての回。しかも、通常は朝8時スタートのところ、夜7時からの開催というスペシャルな回でした。虎ノ門ヒルズ駅の改札を出てすぐ、吹き抜けの開放的な会場には120人を超える参加者が集まり、4人の登壇者のプレゼンに耳を傾けました。
現場で話を聞けなかった!という人は、それぞれのプレゼンをこちらの動画でチェックしてください。
■yuuu/『ビジネス会食完全攻略マニュアル』著者
【profile】
京大院卒後、大手広告代理店で非体育会系・アルコールに弱いながら最大28回/月の会食など苦戦苦闘の末、すべての食事会を誰もが成功に導ける、徹底的に実務に即した体系的な会食ノウハウ=「会食メソッド」を独自に生み出す。公開したnoteは大反響を呼び、異例の30万PV超達成。
会食のセッティングを甘く見る勿れ。経験者の教え
「皆さん、飲み会や会食は好きですか?」と参加者たちに問いかけて始まった、yuuuさんのプレゼン。yuuuさんは広告代理店の勤務時代、取引先などと月に最大28回もの会食をしていたのだそう。その膨大な経験で蓄積した、会食を成功に導くノウハウをまとめ、『ビジネス会食完全攻略マニュアル』という本まで出した会食のプロです。
上司から、「〇月◎日、取引先◎名、自社〇名での会食をセッティングして」と頼まれることが多かったyuuuさん。おそらく若手サラリーマンの多くが、こうした会食幹事を任されたことがあるでしょう。この時、陥りがちなのが、「仕事が忙しくて後回しにし、時間が迫って適当に店を決めてしまう」というミス。このミスが大きなマイナスにつながると話します。
会食に本気で向き合ったからこそ、わかること
店の場所がわかりにくく遅刻者が出る、座席が飛び地で取引先のキーパーソンと話せない、飲み放題にビールがない、メニューが取引先のキーパーソンの嫌いなものだった……。適当に店を決めると、こうしたことが起きがち。そして会食は失敗に終わりますが、上司や取引先、先輩などは、「表面上は怒らない」といいます。でも実は皆、心の中では幹事を務めた人の評価を下げていて、大事な仕事を任されなくなる、次の仕事で契約ができないといったことにつながってしまうのだとか。
ではそうならないためには、どうすればいいのか?そもそも、会食のセッティングにそこまで力を入れるべきなのか? その答えは、yuuuさんの著書に詳しく書かれていますので、興味のある人はぜひ。
■つけたろう(TSUKÉTARŌ)/熱燗DJ
【profile】
日本酒に対する愛情を燗酒で表現する熱燗DJ。日本酒の温度帯、熟成、ペアリングなど様々な観点からアンダーグラウンドな燗酒の世界を探求。定期的に開催する燗酒と料理のイベントでは、魅惑の日本酒プレイリストでオーディエンスの心とコンロに火を付ける。
日本酒の多様性を守るため、酒屋をスタート
「日本酒の楽しさを、沸かし続ける」をモットーに活動するつけたろうさん。主な活動は3つで、1つは熱燗のプロ。つけたろうさんいわく、「酒は、寿司屋やバーテンダーのように同じ素材を扱うにもかかわらず、人によって味が大きく変わる」のだとか。2つ目は、前職の経験を生かした酒蔵アドバイザー。3つ目は、酒屋の運営です。
酒屋を始めた理由は、日本酒の多様性を守りたかったから。日本酒にはその時々のトレンドがあり、酒蔵は自転車操業で余裕がないからこそ、流行の味に寄せて酒造りをします。そうなることで、味が偏って多様性が失われてしまうのです。「チャレンジングな酒造りを後押しするには、自分が全部買い取ればいい」。そう考えて、酒の販売をスタートしました。
新ジャンルの酒を開発し、日本酒の未来を拓く
「つけたろう酒店」は、会員制。会員になると毎月自宅に限定酒が届くシステムです。しかし、「多様性を目指しているのに、クローズドな酒店で売るのはどうなのか?」と自身で疑問を抱き、広く消費者に買ってもらえる日本酒を開発。日本酒とクラフトビールを融合させた、新ジャンルの酒です。
しかし、勢い余って造り過ぎ、「1800本のうち、1312本が残っている」と衝撃の発言が。プレゼン後に行われた懇親会で、つけたろうさん自ら酒を振る舞い、その味をアピール。「酒蔵のチャレンジが多様性につながります。日本酒の未来のために、協力してください!」。つけたろう酒店の第2章は、始まったばかりです。
■剛 壽里(JURI KO)/株式会社 IGNITE 代表取締役社長 IGNITE YOGA 主宰
【profile】
東京都出身。大学時代を過ごしたカリフォルニアでヨガに出会う。その後、ハワイでインストラクターとしての道を歩み始め、ルルレモン立ち上げの為帰国。独立後、原宿にスタジオをオープン。コロナ禍でオンライン、下北沢とスタジオ事業を拡大。現在はハワイと2拠点で、グローバルに活動中。
身体も心も、人生も変えてくれるヨガの力
剛さんが「これまでヨガをやったことがある人?」と問いかけると、約7割の参加者が手を挙げました。剛さんは「ヨガはもともと、古代インドで精神的・身体的な修行の一環として始まったものです」と解説します。剛さんが主宰するIGNITE YOGAでは、古代インドの教えに敬意を払いつつ、オリジナリティを加えたスタイルのヨガを実践。
IGNITEとは「火を灯す」という意味で、身体と心に火を灯すことが、IGNITE YOGAの真髄です。一般的にヨガはスローな動きをするイメージがありますが、IGNITE YOGAでは「アップテンポな曲をかけて、ちゃきちゃき動く」のだそう。それによって、身体がスッキリするといいます。また、「身体だけではなく、心や人生までも変えてくれるのがヨガ」と剛さんは話します。
ヨガに救われ、ヨガで強くなった人たちと一緒に
ハワイで暮らしていた剛さんが日本に来たのは2015年。当時、身内の不幸などさまざまな辛いことが重なり、その苦しさから逃げるように仕事に打ち込んでいました。でも、「どんなときでもヨガをすると、台風の目を見つけるような静けさに出会えた。ネガティブな感情がそぎ落とされて、自分に戻れる感覚があった」と剛さん。
コロナ禍に陥った時にも、「今こそヨガを伝えなくては」と毎朝8時からのオンラインレッスンをスタート。すると次第に受講者が増え、オンラインサロンの立ち上げのために募ったクラウドファンディングでは、2700万円もの資金が集まったといいます。「ヨガに救われた」「ヨガで心が強くなった」。多くのサポーターたちの声が、剛さんの心に火を灯す原動力です。
■ととのえ親方 [松尾大 プロサウナー](TOTONOE OYAKATA)/プロサウナー
【profile】
複数の会社を経営する傍ら、全国のサウナ施設のプロデュースを手掛ける実業家にしてプロサウナー。札幌を訪れる経営者や著名人など1000人以上をサウナにアテンドし、ととのう状態に導いてきたことから“ととのえ親方”と呼ばれるように。
地味でかつ印象が悪かった日本のサウナを変える
近年、日本で大流行中のサウナ。その流行の中心にいるのが、プロサウナーのととのえ親方です。現在47歳のととのえ親方は、20代の頃から世界中のさまざまなサウナに入ってきました。観覧車の1つがサウナになっているフィンランドのスカイサウナ、バンズがしなしなになってしまうバーガーショップ内のサウナ。アメリカでは、5日間断食・断水でサウナに入るネイティブアメリカンの修行を体験したといいます。
世界には個性豊かなサウナがあるのに、日本は画一的。それに加えて、サウナに入る人=怖い人というイメージがあったのが、2010年頃の日本の現状でした。それを変えようと、サウナ師匠と呼ばれる秋山大輔さんと共に会社を作ります。そして、「まずはファッションとつなげよう」とサウナ専門のアパレルブランドを立ち上げました。
一家に一台、サウナがある世界観を目指して邁進
さらには、ミシュランのサウナ版「サウナシュラン」を作って、全国のサウナを“勝手に”表彰したり、「サウナは体に悪いのでは」との声を受け、大学教授と共にサウナ学会を設立したり、隈研吾さんなど著名な建築家が設計するサウナをプロデュースしたり。さまざまな活動をするうち、日本のサウナ業界は大きく変革。若者がこぞって集まる場所になったのです。今や、日本のサウナは世界でも注目されているのだとか。
「風呂は一緒に入ろうと言いづらいけれど、サウナなら言える」。ととのえ親方が見据えるのは、家族のコミュニケーションの場としてのサウナです。「一家に一台サウナがあれば、もっと幸せな家族が増えるのでは」。より広いサウナの普及を目指し、活動は続きます。
■クロストーク
それぞれのプレゼンの後は、4人の登壇者によるクロストークを実施。動画では見られない、トークの内容を少しだけご紹介します。
酒屋とヨガ。ジャンルは全く違えど、会員を募る点で共通している、つけたろうさんと剛さんに、MCが「コミュニティをつくるにあたって大事にしていることは?」と尋ねます。
それに対し、つけたろうさんは「どんな酒が届くかわからないシステムなのですが、皆さんそれを楽しんでくれている。全力で期待に応えることで、知らぬ間にコミュニティが作られている」と話します。剛さんは、「私は何でもみんなで一緒にやりたいタイプ。毎日、各々に自分で決めた距離を走るイベントやっていたのですが、暑い中頑張れたのは、みんなも頑張っているから。みんなでやるから達成できるんです」と、コミュニティの意義を語ります。
また、実はyuuuさんが大のサウナ好きで、ととのえ親方が憧れの存在だったと発覚。「人生の師匠に出会えた」と喜ぶyuuuさんに、ととのえ親方は笑顔で応えます。そしてサウナ未経験者や水風呂が苦手という人に、「サウナは、水風呂に入った後がメインだと言って過言ではない」と持論を語り、さらなるサウナ好きを増やすべくその良さを熱弁しました。
■参加者コメント
ここでいくつか、参加者の感想をご紹介します。
◎よくHills Breakfastに参加している友人に誘われて、足を運びました。日本酒が好きでもっと日本酒を広めていきたいと思っているので、つけたろうさんの話はとても興味深かったです。剛さんのお話を聞き、身体も心もトータルでケアするお仕事をされているのはすごくステキだなと感じました。
(40代・自営業)
◎以前からHills Breakfastは知っていたのですが、なかなかタイミングが合わずに参加できていませんでした。今回は夜開催ということで初参加です。なかなか普段交流しないようなジャンルの方々の話を聞くことができるのが、良いですね。GWにフィンランドで本場のサウナに入ったので、ととのえ親方のお話を楽しく聞かせていただきました。
(40代・会社員)
◎ヒルズアプリでイベントを知り、SNSで見て知っていたyuuuさんの話を聞きたいと思って参加しました。熱燗は入れ方で味が変わるというつけたろうさんのお話も興味深かったですね。実際に熱燗を飲ませていただきましたが、すごくおいしかったです。Hills Breakfastは1人で参加しても、他の参加者とフランクに話ができて良いイベントだなと思いました。
(30代・コンサル業)
◎森ビルのイベントにいろいろと参加していて、Hills Breakfastは3回目です。会場がステーションタワーに変わって、とても新鮮ですね。剛さんのお話は、内容のおもしろさはもちろん、佇まい自体にオーラとパワーがあって引き込まれました。朝だとなかなか参加できないので、夜開催を増やしてもらえたらうれしいですね。
(40代・会社員)
Hills Breakfastは、8月はお休みをいただきます。次回の開催は9月12日(木)8時から。場所は今回と同じく、虎ノ門ヒルズステーションタワーです。登壇者の情報や申し込みはこちらから。