3月の開催レポートが到着!プレゼン動画公開中!

141回目のHills Breakfastは、3月19日(火)に六本木ヒルズのヒルズカフェにて開催。昨年11月に登壇者としてプレゼンをしたToastmasters会員の荒木麻衣さんが、初めてのMCを務めました。

今回も個性はバラバラながら、芯の部分で共通点のある4人の登壇者たちがそれぞれの想いを語りました。参加できなかった!という人は、ぜひアーカイブ動画をチェックしてくださいね。

■河上 一雄(KAZUO KAWAKAMI)/鳥取県東京本部 主幹

0_IMG_1624【profile】
鳥取県職員として東京に駐在し、砂丘や蟹など、全国に鳥取県の魅力を発信。人口最少・財政規模も小さい鳥取県では、いかに予算をかけずに効果的に情報発信できるかが使命。日々知恵を絞り、時にはトレンドに便乗して、他県とは一味違う魅力発信に挑む。

予算が少ないからこそ、アイデアで勝負する

4年前に鳥取県庁から東京にある東京本部へ異動し、鳥取の魅力を全国へと発信している河上さん。鳥取は人口約54万人の全国で最も県民数が少ない県。それだけに広報に掛けられる予算は多くありません。

しかし、そんな中でも、スターバックスコーヒーが初めて鳥取に上陸した際、「スタバはないけどスナバはある」と名物の砂丘を取り入れたジョークを飛ばし、全国的な話題となった平井伸治知事の音頭のもと、「知恵を絞れ、工夫をこらせ、素早くトレンドに便乗せよ、最小コストで最大効果」を心得にして、情報発信に取り組んでいます。そうして、意外性のある組み合わせから生まれる、驚くようなアイデアを次々と展開しているのです。

ユニークな発想の源には、鳥取への愛がある

例えば、数年前に六本木ヒルズで実施した、松葉カニの釣り体験。予算オーバーでイベント自体は赤字だったものの、メディア露出につながって効果的なPRができました。名物のらっきょうとヌン活を組み合わせた「らっきょうアフタヌーンティー」や、映画『DUNE砂の惑星』との砂つながりのコラボなど、ユニークな発想で話題を生み続けています。

全国に先駆けてメタバース課を設置したこともメディアをにぎわせました。こうした多様な発信をするために必要なのは、「愛です」と河上さん。「愛があるから勉強し、方々からネタを集める。それをワクワクするような組み合わせにするのです」。春には六本木ヒルズで新たなイベントを実施予定。今後のアイデアも楽しみです。

■杵屋小三郎(KOSABURO KINEYA/AMANE SAKAGUCHI)/長唄三味線奏者・作曲家

0_IMG_1692【profile】
長唄最大流派「杵勝会」の家元長女。四代目杵屋小三郎を襲名。東京藝大邦楽科首席卒業。文化庁・北九州市共催「東アジア文化都市式典」にて日本舞踊の作曲・演奏に抜擢。NHK大河ドラマ「どうする家康」OSTの三味線ソロを担当。邦楽の要素を取り入れたクラシックの作曲にも取り組む。

長唄は、庶民が親しんだ「江戸時代のJ-POP」

冒頭、杵屋さんは「長唄を聞いたことがある人?」と会場に問いかけました。敷居が高いイメージがある長唄ですが、杵屋さんは「決して堅苦しくありません」と話します。歌舞伎の舞台進行に合わせて、登場人物の心情やストーリーの進行をわかりやすく、ドラマチックに表現するのが長唄。今で言う映画音楽のような役割です。

その長唄を歌舞伎から独立した形で楽しむようになり、多くの曲が生まれて、江戸時代から演奏会が数多く行われてきました。代表曲の「藤娘」の歌詞を現代訳してみると、「男なんて大嫌い!他の女には会わないって言ったじゃない」など、赤裸々に女性の恋心を歌っているのです。ささやかな日常を表した歌詞が多く、「江戸時代のJ-POPのようなもの」と杵屋さん。

西洋音楽と邦楽を融合させ、自分だけの音楽を

長唄の最大流派の家元の長女として生まれ、幼少期から三味線に親しみ、大学にも長唄三味線専攻で入学しましたが、杵屋さんはずっとクラシックやジャズなど多様な音楽と触れ合ってきました。そんなバックグラウンドを持って大学で作曲に出会い、長唄の作曲を始めると、たちまち多くの評価を得てさまざまなオファーをもらうまでに。

コロナ禍で考えた「どうすればもっといろんな国の人に長唄を聞いてもらえるか?」という問い。「クラシックに邦楽を混ぜてみたらどうだろう?」との想いから、海外の作曲講習会に参加する中で手ごたえを得て、今年の9月からアメリカの大学院でクラシックの作曲を学ぶのだそう。「三味線コンチェルトを書きたい」。杵屋さんが生み出す、新しい音楽に期待が膨らみます。

■窪田 望(NOZOMU KUBOTA)/株式会社Creator's NEXT代表取締役

0_IMG_1796【profile】
慶應大学在学中の19歳の時に起業し、現在20年目。AIの特許を20件持ち、日本一のウェブ解析士(Best of the Best)として2年連続で選出され殿堂入り。内閣総理大臣賞受賞。銀座シックス、銀座資生堂パーラーで20回以上個展を開催。

デジタル技術を用いた、体験型アートを生み出す

プレゼンの前に「まずは社会実験をやってみたい」と、目の前の参加者たちに「立ち上がって、右手と左手を連続でたたいてみて」と促した窪田さん。パチパチと拍手が巻き起こる中、「名前を言っただけでスタンディングオベーションを受ける男です」と、ネタ明かしをして笑いを誘いました。AIなどデジタル技術を用いたアート作品を手掛けている、アーティストらしいオープニングです。

窪田さんが生み出しているのは「インスタレーション」と呼ばれる、空間を丸ごと作品に仕立てるアート。見る人が作品の中に入り込んで楽しめるのが、魅力です。例えば、5つのシャボン玉発生機を作り、シャボン玉が膨らむタイミングに合わせてAIが詩を朗読する空間。まさに体験型のアートです。

不要なもの、廃れつつあるものにこそ目を向ける

他にも、不要になったスマホをたくさん集めて1つ1つ吊るし、SNSの操作画面などを表示させ、まるでスマホを操作する誰かの日常に入り込んだかのような体験ができる作品や、過疎の町で廃校になった小学校を使い、廃線になった電車の映像などを流しながら、町民と芋煮を食べつつ町の未来を語り合う企画も。

AIを用いた事業を手掛け、「常に特殊なデータは除外して、最大公約数をとること」が当たり前だった中、いわゆる「外れ値」をもっと取り上げてもいいのでは?と感じ、消えつつある方言を解析するAIの開発にも挑みました。「みなさんが大切にしたい外れ値とは?」。窪田さんからのそんな問いかけに、集まった参加者たちは思い思いに考えを巡らせていました。

■米澤 渉(WATARU YONEZAWA)/NEO阿波踊り集団「寶船」リーダー/日本盆踊り協会 芸術顧問

0_IMG_1857【profile】
世界22カ国68都市へ活動を展開するプロ阿波踊りグループ「寶船」のリーダー。その熱いパフォーマンスは世界各国で評価されており、これまでにヨーロッパ、アジア、北米、中米などの大規模なフェスティバルや国立劇場でパフォーマンスを披露。

阿呆になれば、世界はもっとおもしろくなる

日本で初めてのプロの阿波踊りグループのリーダーとして、これまで世界22カ国68都市でパフォーマンスをしている米澤さん。阿波踊りの魅力は、「阿呆になること」。「踊る阿保に見る阿保 同じ阿保なら躍らにゃ損々」というお馴染みのフレーズが表すように、混とんとした熱狂の中で、阿呆になって踊るのが阿波踊りの真骨頂です。

スティーブ・ジョブズの「愚かであれ」、岡本太郎の「でたらめをやれ」といった言葉を例に挙げ、「偉大な人たちは皆、クレイジーになれ、狂えと言っている。常識から逸脱したものを生み出すことで、世界はおもしろくなってきたのです」と米澤さん。会場の参加者にも、「ちゃんと阿保してますか?」と問いかけます。

震災後、生きる勇気を与えたパフォーマンス

そんな米澤さんですが、父に促されて始めた阿波踊りをずっと「かっこ悪い」「恥ずかしい」と思っていたそう。しかし、その想いを180度変える転機が訪れます。それは、2011年3月に参加したハワイでのイベントでした。パフォーマンスを控えた前日に発生した東日本大震災。

「どんな気持ちで踊ればいいのか」と悩みながらもステージに立つと、ある女性が泣きながら米澤さんの手を握り、「生きていく勇気をもらいました」と語ったのです。「こんなにも価値のあることだったのか」と気付き、直後に団体を法人化。プロとして歩み始めます。「夢中になれることに飛び込んで、踊る阿保であれ」と米澤さん。4月6日(土)には、六本木ヒルズの春まつりへ出演予定。熱狂の渦に巻き込まれてみたい人は、ぜひ来場を。

■クロストーク
配信動画では見られない、登壇者4人のクロストークをちょっとだけ公開します。

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「デジタルアートと阿波踊りと三味線のパフォーマンスを、鳥取でやれたらいいなと思いました。この4人で1つのものが作れそう」と窪田さん。その声に「ぜひ企画したい」と河上さん。

また、会場からは杵屋さんと米澤さんに「2人は何に突き動かされているのか?」との質問が上がりました。

それに対して、米澤さんは、「エンターテインメントは呪いに近い。自分が選んだ熱病におかされる感覚。それが続けるモチベーションです」と回答。杵屋さんは、「ラジオの収録など、誰もいないところでの演奏は苦手。聞いてくれる人がいないとダメなんです。人前で話すの苦手だけれど、曲を通してならば自分のことを伝えられる」と、自身にとっての演奏や作曲の力の源について話しました。

登壇者に直接、質問ができるのがHills Breakfastのいいところ。ぜひ会場に足を運んで、気軽に手を挙げてみてください。

■参加者コメント
ここでいくつか、参加者の感想をご紹介します。

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◎六本木ヒルズで働いていて、告知を見て初めて参加しました。4人の登壇者はみなさんやっていることは違いますが、目の前にあることに真剣に取り組んでいると感じました。見てくれている人の反応を取り入れて活動の糧にしている点も共通しているなと。こんなに楽しい話をドリンク代だけで聞いていいのかと思うほどでした。楽しかったです。
(30代・会社員)

◎4回目の参加です。河上さんの話を聞いて、鳥取県はブランディングが上手だなと感じました。自治体のPRの形はさまざまですが、知事が積極的で広報の人がイケているとこんなにおもしろくできるのかと。Hills Breakfastは、毎回ユニークな人たちが登壇して、有意義な朝の時間を過ごせます。今日も良い1日の始まりになりました。
(30代・会社員)

◎初めて参加しました。話を聞いて、阿波踊りも長唄も生で見てみたいと興味がわきました。伝統文化は敷居が高いと思っていましたが、こうして敷居を下げてくれる人がいるのはありがたいですね。朝からこういう場に集まっている人たちは、みんなキラキラしていると感じました。良い空気が流れている感じ。参加できて良かったです。
(40代・主婦)

◎友人の紹介で初参加です。私は地方自治体と組んでDXの仕事をしているので、鳥取県の話は興味深かったですね。窪田さんが話していた山形県の西川町とも接点がありましたし、DXを使った伝統文化の仕事も構想にあるので、今日のお話はすべて身になるものでした。8時のスタートは、終わってから仕事に行くのにちょうどいいですね。また参加したいです。(20代・経営者)

次回は、4月4日(木)8時に開催です。場所は、いつもと同じ六本木ヒルズ ヒルズカフェ。詳細、申し込みはこちらからどうぞ。

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