10月開催レポートが到着!プレゼン動画公開中!

137回目のHills Breakfastは、気持ちの良い秋晴れの中、六本木ヒルズのヒルズカフェにて開催されました。今回も4人4様の独自の視点で突き進む、ユニークなキャリアを持つ登壇者が集結。熱のこもったプレゼンに、会場に集まった参加者たちは大いに刺激を受けたようです。参加できなかった!という人は、各登壇者のページからアーカイブ動画をチェックしてくださいね。

■朴 常綜(PARK SANGJOUNG)/株式会社Allways 代表取締役

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【profile】
東北出身。3.11をきっかけに被災者免除制度を活用し大学進学。制度廃止に伴い中退。起業に挫折しフリーターを経て25歳新卒として人材会社に就職。医療介護業界の採用支援業務に従事。ベンチャー企業で8ヶ月勤務後、採用人事支援フリーランスに。22年4月法人化。

逆境に直面した経験が、今の自分を築いている

「私自身、自分の個性や進路について悩んだ経験があるから、同じような人の気持ちがよくわかる」と話す朴さん。採用人事支援の道で独立するに至るまでには、3つの大きなターニングポイントがあったといいます。1つ目は父が営んでいた会社の倒産。中学3年生でその窮地に直面した朴さんは、「将来、自分はどうすればいいんだ…」と進路について深く悩みました。

2つ目は2011年に起きた東日本大震災。地元の福島で被災し、被災者免除制度を利用して、大学へ進学しました。教育関連の仕事に就きたいと学んでいましたが、制度が廃止されてやむなく中退。そうして入社したのが、医療介護業界の採用支援をしている会社でした。そこで、採用人事支援の仕事と出会います。

「個性」とは、他者から期待される自分の能力

3つ目は「個性」に対する考え方が大きく変わった出来事でした。自分がやりたいことと会社の評価基準が合わず、個性の発揮の仕方がわからずに苦しんだという朴さん。しかし、ある時「うちの人事の仕事を、週1回来て手伝ってほしい」と言ってくれる企業が現れたのです。そのとき、「個性とは自分で結論を出すことではない。相手が自分に期待することを主体的にやって、相手から感謝されることが個性なのでは?」と気付いたといいます。

それから常に、「他者にどれだけ貢献できるか」という軸で動いているのだそう。「私がしているのは、人を集めるというよりも法人の個性を応援する仕事」と話す朴さんへ信頼を寄せる企業は多く、これからますます活躍の場が広がりそうです。

 

■山本 杏里(ANRI YAMAMOTO)/ネイルサロン Our Jam オーナーネイリスト

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【profile】
大学卒業後、カナダのワーキングホリデーでネイリストとして就職。帰国後は企業に勤めながらネイリストを平行し、2020年にネイルサロン Our Jam を原宿/外苑前にオープン。2022年に「47都道府県出張ネイル」を実施し、年内に完遂。その経験をもとに書籍執筆中。

ネイルを通して、多くの女性の想いを聞くこと

ネイルサロンのオーナーである山本さんが、ネイリストを始めたのは、ネイルが好きだったからではありません。カナダでのワーホリ中、初心者でもトレーニングをすれば雇ってもらえるネイルサロンに勤め始めたのが、ネイルとの出会いです。

医療や介護業界では、患者や利用者の緊張を和らげるために手を触ってリラックスさせる「脱感作療法」という手法があるのだそう。ネイル中は常にこの状態が保たれているので、深いプライベートの話や人生の大きな決断などについて聞くことも多く、お客様との間には濃厚な時間が流れます。そこで感じたのは、若い女性はさまざまな角度で自分のライフステージをとらえて決断をしないといけない場面が多いということでした。

47都道府県で多様な価値観に触れ、見えてきたもの

「ネイリストの自分ができることは?」と考えていたときに、出会ったのが「創造力は人生の総移動距離に比例する」との言葉。これに共感して思いついたのが、「47都道府県出張ネイルプロジェクト」でした。全国各地に根差した人にインタビューをしながらネイルをするという、ユニークなアイデアです。

宮城県ならこけし、宮崎県なら高千穂など、ご当地名物をテーマにしたデザインでネイルを施しながら多くの人の話を聞くうちに、「ときには誰が何と言おうと自分はこうだと決断する強さが必要」だと感じたといいます。強さを持つには、勇気が必要。「自分もやってみようという、勇気を提供するネイルサロンにしたい」。山本さんの挑戦は続きます。

 

■及川 涼介(RYOSUKE OIKAWA)/静岡県裾野市副市長

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【profile】
1994年11月、神奈川県横浜市生まれ。2017年4月、総務省入省。マイナンバー制度などを担当。2020年7月、スタートアップの株式会社グラファーに転職。自治体の行政手続きデジタル化などを支援。2022年4月から現職。

「市民は顧客」と語る市長のもとで、副市長へ就任

昨年から、静岡県裾野市の副市長を務めている及川さんは、両親から受けた教育の影響で、幼い頃から公共分野に興味を持っていたそうです。大学時代にはテクノロジーを使って地域や行政の課題を解決する市民活動「シビックテック」に出会い、大学卒業後は総務省へ入省。その後、自治体向けに電子申請のサービスなどを手掛けるスタートアップ企業へ転職し、公共分野の畑を歩き続けてきました。

そんな及川さんに、35歳の若さで裾野市市長に当選した村田氏から声がかかります。そうして急遽、副市長への就任が決まったのです。決め手は村田市長が掲げた「市民は顧客」というキャッチフレーズ。「これまで培ってきたユーザーファーストの視点が役に立つのでは」と思ったといいます。

経営者のような視点で市政運営を考え、実践

「ほとんどの人が、副市長の仕事がどんなものが知らないと思います」と及川さん。そして、「副市長は企業でいうとCOO(最高経営責任者)に近いもの」と語ります。COOはCEOの決定に従い、実質的に企業を動かしていくナンバー2のポジション。財政再建と市民サービスの充実を両立させるため、50以上の公約を掲げて当選した村田市長の公約実現のため、日々奮闘しています。

多岐にわたる市役所組織のすべての部門に目を配り、部長級以上の役職者と1on1ミーティングをし、組織を活性化。さらには、市役所業務のDX化を推進するなど、経営者のような視点で、市民へより良いサービスを届けようとしています。30代の市長と20代の副市長。若い2人が率いる街の発展に注目です。

 

■塩田 基(MOTOI SHIODA)/公益財団法人福武財団 経営企画 特命部長、株式会社ベネッセホールディングス本社・直島統轄部 渉外担当課長

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【profile】
1991年、福武書店(現 ベネッセコーポレーション)入社。高校営業、総務、障がい者雇用の特例子会社立ち上げ、経営企画を経て、2014年、公益財団法人福武財団に出向。渉外担当としてベネッセアートサイト直島ならびに瀬戸内国際芸術祭での企業連携を担当。

アートを用いて、課題を抱える島を変えていく

周囲約16km、人口3,000人ほどの小さな島に、さまざまな現代アートが点在。香川県の北に位置する直島がアートの島であることは、多くの人がご存知でしょう。そんな直島へ「10年前、リアル島流しされた」と語り、参加者の笑いを誘った塩田さん。

このプロジェクトの目的は、アートを使った地域創生。資源の枯渇、過疎化、産業廃棄物の不法投棄などさまざまな課題を抱えていた島を、アートの力で変えようとしたのです。プロジェクトには、2つのキーワードがあります。1つは、「サイトスペシフィック・ワーク」。自然の中にアートを置き、そこでしかできない体験を生み出す考え方です。2つ目は、「コミッションワーク」。ただ作品を置くのではなく、アーティストがその土地を表現する作品をつくるのです。

アートが持つさまざまな可能性を、追い続ける

今では、「次に見るべき世界の7カ所」の1つや、「日本の行くべき場所のTOP10」の3位に選ばれるなど、海外からの注目度も高く、年間50万人ほどが島を訪れるようになったといいます。また、経営者を集めたフォーラムも実施。島の社会課題をリアルに体験しながら、持続可能な企業成長のヒントを与える内容です。

近年注目を浴びている「アート思考」を磨くきっかけづくりも提供。地域創生はもちろんのこと、アートの可能性を生かしたさまざまな取り組みが行われています。「あなたにとって、アートとは?を考えてほしい」と塩田さん。普段アートに触れ合うことのない生活を送っている人こそ、足を運べば得るものが多そうです。

 

■クロストーク
配信動画では見られない、4人の登壇者のクロストークをちょっとだけ公開します。

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参加者から向けられた「今やっている仕事は天職だと思いますか?」との質問に、それぞれが答えました。

朴「天職だと思います。天職はある職種や業界のことを指すのではなく、心の状態のこと。以前、夢中になって仕事をしていたら、気づくと朝になっていたことがありました。同じ内容の仕事でも、主体的に取り組み、誰かに感謝されると天職になっていくのではないでしょうか」

山本「ネイリストを始めたときは、天職ではないと思っていたので、カナダから帰国後、普通に就職をしました。でも、趣味で友人にネイルをしてあげると『これで仕事頑張れるよ!』と喜ばれ、初めてネイリストの仕事を日本でもやろうと思ったんです。人を喜ばせられる経験値が増えたことで、天職になりました」

及川「仕事に夢中になれているので、80%は天職だと思います。一方で、前職のスタートアップ企業のように、市政に携わる以外にも社会課題を解決する手段があるとも考えていて、ずっと探し続けている状態ですね」

塩田「10年前は経営企画にいて、まったく毛色の違う仕事で直島に行きました。そこで直島の良さを感じ、それを多くの人に伝えたくなって、気づいたら10年で2000人以上を案内していました。やっていくにつれて、天職になっていったのだと思います」

4人の話を聞き、自身の仕事について考えた参加者は多かったようです。

 

■参加者コメント
ここでいくつか、参加者の感想をご紹介します。

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◎毎月のように足を運んで、いつも刺激を受けています。今回は、山本さんのプレゼンにあった「創造力は人生の総移動距離に比例する」という言葉が心に残り、私自身も行動しないといけないなと思わされました。Hills Breakfastは、普段接している世界とは違う価値観に出会えるのがいいですね。
(30代・公務員)

◎前回たまたま足を運んですごくおもしろかったので、今回も足を運びました。短いプレゼンなので、もっと掘り下げて話を聞きたい!と興味を引かれて、登壇者へ話しかけたり、SNSなどを検索したりしたくなります。プレゼンの前に参加者同士で自己紹介をする時間があって、横のつながりが生まれるのもうれしいです。
(30代・会社経営兼会社員)

◎先月も参加しました。濃い内容の話を、短く凝縮して聞くことができるのがいいですね。登壇者の皆さんは4人とも芯のある人たちばかりで、仕事を楽しんでいることが伝わってきました。朴さんが話していた、「天職かどうかは、何をするかよりも、心の状態で決まる」という言葉が心に残りました。
(30代・鍼灸師/絵本作家)

次回のHills Breakfastは、11月13日(月)にいつも通り、六本木ヒルズ ヒルズカフェで開催します。登壇者の情報や参加申し込みはこちら

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