9月開催レポートが到着!プレゼン動画公開中!

あいにくの大雨に見舞われた、136回目のHills Breakfast。このお天気ではさすがに欠席者が多いのでは…とのスタッフの予想をいい意味で裏切り、登壇者たちのプレゼンを聞こうと60名程度の参加者が会場に集まりました。しかもそのうち、半数以上が初参加。Hills Breakfastへの期待を肌で感じる機会となりました。
参加できなかった!という人は、各登壇者のページからアーカイブ動画をチェックしてくださいね。

■箕浦 慶(KEI MINOURA)/Upmind株式会社 代表取締役CEO

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【profile】
オーストラリア・パース生まれ。2015年に東京大学工学部を卒業、チームラボに入社。2017年に米Bain&Company(戦略コンサル、東京支社)に転職し、経営戦略の立案に従事。2021年にUpmind株式会社を設立。瞑想歴はゴア(インド)で体験してから10年以上。

過去でも未来でもなく、現在に意識を向けること

「マインドフルネスを聞いたことがある人?」と箕浦さんが参加者に問いかけると、ほとんどの人が手を挙げました。でも「聞いたことがあっても、それが何なのかを説明できる人は少ない」と言います。「私たちは、今を生きていますが、過去や未来に想いを寄せていることが多い。今この瞬間に意識を向けるのが、マインドフルネスの基本的な概念です」と箕浦さんは説明します。

ぼーっとしていても私たちは常に脳のエネルギーを消費していますが、マインドフルネスを取り入れることによって、頭を休めることができるのだそうです。マインドフルネスによって脳の構造が変わり、脳のトレーニングにもなることがさまざまな研究でわかってきているのです。

マインドフルネスは、これからの時代を生き抜くスキル

マインドフルネスのアプリを開発し、2021年に起業した箕浦さん。そのきっかけは大学生の時にインドへと足を運んだことだと言います。そこでメディテーション(瞑想)を体験し、呼吸に意識を向けて10分間休むだけでスッキリした感覚を覚え、良い影響を実感して、習慣化するようになったのだそう。

箕浦さんいわく、「現在を生きる私たちは、江戸時代の1年分に匹敵する情報を1日で得ています」。だから、意識的に頭を休めることが大切なのです。変化の激しい時代に流されず、物理的なものばかりに幸せを求めず、精神の安定を幸福だと捉えること。そんな価値観がこれからより大切にされるでしょう。「歯磨きをするように、心を整える習慣を」との箕浦さんの言葉が胸に響きます。

 

■星野 俊二(SHUNJI HOSHINO)/靴職人、HOSHINO BESPOKE SHOES 創業者 代表取締役、Hoshino Global Partners 創業者 代表取締役、公認会計士事務所 星野 創業者 代表取締役

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【profile】
2008年より公認会計士としてKPMGで監査/アドバイザリー業務に従事。その後、靴職人として修行し、2013年より経済産業省派遣にてミャンマー連邦現地会社のバックアップ。2016年にオーダー靴ブランドHOSHINOを創業。7年延べ12,000足を販売。2017年に公認会計士事務所星野/HGPを創業。

もっと女性たちが、美しい靴を履く世界に

もともと、プロダクトデザインに興味があったという星野さん。しかし、その興味とはまったく異なる公認会計士としてのキャリアをスタートさせました。現在は、靴職人と2足の草鞋を履いていますが、そのきっかけは女性の足元を見て感じたこんな想いでした。「どうしてこんなに汚い靴を履いているの?もっと素敵な靴を履いたらいいのに」。

そうして、師匠について靴づくりを学び始めた星野さん。公認会計士も、靴職人もどちらの道も捨てることなく、ユニークなキャリアを歩んでいます。現在は、製造を日本で行いながら、海外十数カ国を拠点に、各国のホテルのスイートルームなどを催事場として、顧客へ靴を届けています。

簡単にはいかないけれど、靴業界には未来がある

星野さんのブランド「HOSHINO」の靴は、30万円を超えるスペシャルなものばかり。本店を銀座に構え、世界中を飛び回っている姿を見る限り、万事順調に商売ができているように思います。しかし、「最初の1カ月目から、8年目の今年に至るまで、毎月何かしらの問題が起き、生きるか死ぬかの状況をくぐり抜けてなんとか続いている」と星野さん。

国によって文化が違い、アジア人が作ったものは受け入れられづらかったり、規模が大きくなるにつれ、人員も増えて一筋縄ではいかなかったりするのだと言います。しかし、靴の市場は右肩上がりで、NFTや3Dで次世代の靴をつくることにも着手しており、未来があるビジネス。起業時に掲げた「いい靴を届けたい」という想いをぶらすことなく、これからも星野さんの挑戦は続きます。

 

■松田 恵(KEI MATSUDA)/株式会社 KEI MATSUDA design office 代表取締役、ファッションデザイナー

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【profile】
アパレルメーカーにてデザイナーとして従事。技術向上のため30代半ばにニューヨーク州立ファッション工科大学にて、シルエット構造を学ぶ。アパレル業界に約30年従事した後、2019年6月、法人設立及びファッションブランドKEI MATSUDAを設立。

在庫を出さないことは、ゴミを出さないということ

「世界に一つのオーダーメイド」をブランドコンセプトに、女性経営者を中心に顧客へその人だけの1着を作るブランドを展開している松田さん。オーダーメイドに特化しているのは、「ものをつくることは、地球環境問題に少なからず加担しているから」。SDGsの目標の1つである『つくる責任、つかう責任』に着目し、在庫を残さない小規模事業者ができるアパレルビジネスのあり方は?と考え、起業したといいます。

決してファストファッションが悪いとは言わない。けれど、「安いからといってなんとなく服を買うのではなく、お気に入りの1着を大切に着てほしい」。そんな想いが松田さんの服作りの根底にはあるのです。

大量生産・大量消費の裏側にある犠牲に目を背けない

松田さんは、2015年に公開されたドキュメンタリー映画『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』を紹介しながら、アパレル業界の課題について語ります。同作はバングラデシュで1000人以上の死者を出した縫製工場の倒壊事故をきっかけに制作されたもので、大量生産・大量消費の裏側には多くの犠牲があることを訴えています。

この作品を見て、「この業界で仕事していていいのかと迷った。デザイナーを辞めようかというところまで追い詰められた」と言います。しかし、現実から目を背けず、ファッションを通して未来を変えることを選んだのです。「私1人の力は微力ですが、多くの人の力を集めれば、地球を守れるのでは」。そんな想いで、松田さんは今日も服作りに励みます。

 

■山田 翔太(SHOTA YAMADA)/アスリート陶芸家・遠州流茶人

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【profile】
10代から独学で陶芸を始める。茶盌を中心とした作品を制作し、銀座の靖山画廊の所属アーティストとして個展を開催。遠州茶道宗家の直門で茶の湯の世界を学ぶ。茶盌や茶の湯、茶道具を通して日本の美意識である“みたての世界”を伝える講師として研修やワークショップを行う。

山頂でお茶会? 働きながら、ユニークな活動を継続

アスリート陶芸家というユニークな肩書きは、山田さん自身が作ったオリジナル。自身が作った茶碗や茶道道具を持って山を登り、山頂でお茶会を開くなど、スポーツ歴と運動神経の良さを生かして、これまでにない活動を行っているのです。2年後には、エベレストでの開催を目標にしているとのこと。

山田さんは製薬会社に社員として所属しながら、アーティスト活動を継続しているサラリーマン陶芸家。かつて、ある人に「アーティストになりたいなら、仕事は辞めるべきだ」と言われましたが、「その言葉に違和感を覚えた」と言います。「アーティスト1本で生きなくとも、経済的な後ろ盾とアーティスト活動を両立することで、むしろ作りたいものを作れる」。それが山田さんの主張です。

正解を追い求めず、自分の「みたて」を大切にする

会場の参加者に自身の作品を見せながら、「この茶碗の中に、何が見えますか?」と問いかけた山田さん。「富士山に見える、滝つぼに見える、宇宙に見える…など、いろんな見方ができますよね。人はどうしても正解を追い求めてしまいがちですが、正解のない世界は美しいのです」と独自の考え方を説きます。

アートと向き合い、心で感じたことを味わって、自身の思考を磨く。このような最近よく聞く「アート思考」を、山田さんは「みたて思考」と呼んでいます。「自分と対話し、心が躍ることを追求する。そうすればより豊かな人生が送れるはず」。普段忘れかけている、心の声に耳を澄ませる時間の尊さを、山田さんのプレゼンは思い出させてくれます。

 

■クロストーク
配信動画では見られない、4人の登壇者のクロストークをちょっとだけ公開します。

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異なるジャンルで活躍する皆さんですが、松田さんは共通点を感じたと話します。「探求心と集中力を持って、前に進んでいるところが似ている気がしますね。とても刺激になりました」。

山田さんも、「4人とも、目先のゴールがない世界で生きているので、ずっとわくわくし続けられるのではないか」と共通点について語ります。箕浦さんは、「靴、服、器と、普段使っているものに、丁寧に向き合って大事にすることは、マインドフルネスにつながるような気がします」と、マインドフルネスの世界とリンクさせて捉えたそうです。

「みなさんのお話を聞いて、もっと飛び越えていかないといけないと思った」と星野さん。「ハイヒールでエベレストに登って、お茶会とか?」そんなユニークなアイデアでのコラボレーション話も浮上し、和やかなクロストークとなりました。

 

■参加者コメント
ここでいくつか、参加者の感想をご紹介します。

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◎ヒルズアプリでお知らせが来て、アーティスト活動をしている方が多く登壇するのを知って参加しました。私自身、イラストを描く仕事を少しやっているので、興味がありました。ものづくりも瞑想も、精神を集中させてやることなので、共通していますよね。クリエイティブな方々の考え方を聞くことができて、いい機会でした。
(50代・主婦)

◎友人に誘われて、初めて参加しました。山田さんのお話の中で、作り手の顔が見える器を使っているかという言葉があったのですが、そういう視点で器を手に取ったことがなかったので、新鮮でした。普通に暮らしていると入ってこないような、新しい発想に触れることができて、いいイベントだと思いました。
(30代・接客業)

◎Hills Breakfastには、タイミングが合うときに時々参加しています。いつも前向きな話ばかりなので、来るたびに心地がいいですね。私自身、会社員をしながらいくつかパラレルワークをしているので、ジャンルが異なる皆さんのお話はとても参考になります。
(30代・会社員/パラレルワーカー)

 

次回は10月12日(木)朝8:00から開催いたします。

申し込みと詳細はこちらから。ぜひ会場に足をお運びください。

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