前回から会場が六本木 蔦屋書店「The Lounge」に変わったHills Breakfast。129回目の今回も、おしゃれな雰囲気のカフェスペースに多くのリスナーが駆け付けて、登壇者のプレゼンに耳を傾けました。現地に行けなかった!という人は、各登壇者のページからプレゼン動画をチェックしてくださいね。
■飯野 航平(KOHEI IINO)/株式会社MentaRest 代表取締役・CEO
【profile】
GMOグループにて新規営業トップの成績を修めるも、働き過ぎによりメンタルダウンを経験。21年9月よりメタバースでメンタルを整える株式会社MentaRestを設立。現在は企業従業員向けのメンタル不調予防として、アバターカウンセリングのサービスを展開。
自身のメンタルダウンが起業のきっかけ
かつて、IT企業でトップセールスの営業職として働いていた飯野さん。しかし、業務過多でメンタルに不調をきたしてしまったといいます。「心を病むと人によっていろんな症状が出ますが、僕の場合は積極性がなくなってしまって。だから、家でゴロゴロして、Uber Eatsで食事をとって、配信動画を見て…という不摂生な生活を続けていました」と話します。
飯野さんのように、仕事が原因で心のバランスを崩してしまう人は年々増えていて、それによる日本における社会的損失は、2兆円以上と言われているのだそう。休職や離職をすると、例えば年収500万の従業員の場合、1人につき約750万円の損失が出る計算。これが何人も重なると、会社は危機的状況に陥ってしまいます。
アバターを介した気軽なカウンセリング
このような企業の課題を解決しようと飯野さんが始めたのが、メタバース上のカウンセリングサービスです。アバターを介してカウンセラーと話すので、顔出しも通院も不要。自宅や会議室から気軽に受けられるのが特徴です。現在は複数の企業と提携し、福利厚生の一つとして導入してもらうなど、サービスの拡大を進めています。
アバターだから本音を話しやすく、カウンセリングにネガティブなイメージを抱いていた人もポジティブに捉えてくれることが多いのだそう。大切なのは、誰もがメンタルに不調をきたさない環境をつくること。「元気に働いている人にこそ、使ってもらいたい」と飯野さん。これから先、カウンセリングがもっと身近なものになっていきそうです。
■深川健太(KENTA FUKAGAWA)/リーマン登山家
【profile】
会社員として働く傍ら、レーニン峰(7,134m)をはじめ、アフリカ・南米・欧州・アジア等での高所登山を経験。今年の夏には、ブロードピーク(8,051m)登頂に挑戦。会社員としては、所蔵事業部の財務統括・事業開発を兼任。
失恋をきっかけに目覚めた登山
サラリーマンとして働きながら、世界中のさまざまな山に登っている深川さん。実は、登山のきっかけは失恋だったのだそう。彼女に振られて「何クソ!」という想いで始めたものが、今では趣味の域を超える活動に発展しています。ちなみに、別れた彼女とは復縁し、今では夫婦とのこと。
「当初は8000m峰の山に自分が登るとは思わなかった」と深川さん。しかし、「山でいろんな人に出会って、だんだんと登りたい山が増えていった」と話します。また、昔からバックパッカーとして旅して見てきた美しい風景とは違う、自分の力で歩いて眺める景色の魅力にひかれていったのだそう。
有給休暇を使った1カ月間の挑戦
昨年の夏、深川さんはブロードピーク(8,051m)の登頂に挑戦。上司に渋られつつ、めいっぱい有給休暇を使って臨みました。酸素濃度が平地の3分の1ほどのため、自宅で酸素濃度を変えられる装置を使って体を慣らしたり、毎週のように日帰りで富士登山をしたりとトレーニングを積み重ねました。
約50kgの荷物を背負って、45度以上の氷の壁をひたすらクライミングするような、過酷な登山。途中、登るはずだった道が崩壊していて、自分の隊にいたスタッフが亡くなるという壮絶な経験も。高山病と怪我で登頂は叶いませんでしたが、「人生が凝縮されたような1カ月間でした」。今後も会社員を続けながら、エベレスト、そして世界最難関のK2の登頂を目指します。
■関芳実(YOSHIMI SEKI)/株式会社StockBase 代表取締役、菊原美里(MISATO KIKUHARA)/株式会社StockBase 取締役
【profile】
横浜市立大学の現役女子大生。2人で株式会社StockBaseを創業し、企業内で不要となったものを、必要とする団体にマッチングする物品の有効活用プラットフォームを運営。これまで140tを超える備蓄食の有効活用を実現。日本一のプラットフォームを目指す。
誰かにとって不要なものも、誰かには必要
前にプレゼンした深川さんの話に、「彼女と復縁して結婚したと聞いてキュンキュンしています!」と女子大生らしい感想を話してスタートした、関さんと菊原さんのプレゼン。「ザ・普通の大学生でした(関さん)」、「授業そっちのけでウインドサーフィンをしていました(菊原さん)」という2人が、学生でありながら起業したのは、ある活動がきっかけでした。
それは、森ビルが実施した「カレンダープロジェクト」。不要になったカレンダーを高齢者施設に届けるもので、それを手伝った際に「企業内で不要なモノも、外に出せば必要な人もいると気付きました」。そこで考えたのが、モノを循環させるプラットフォームです。
備蓄食に目を付け、ビジネスを創出
大学のアントレプレナーの授業で、ビジネスモデルを考える課題があったため、これをテーマに検討。備蓄食に着目して、期限間近の食品を子ども食堂やフードバンクなどに届けるアイデアを出しました。すると、ビジコンで複数の賞を受賞。「これをビジネスとして成立させて、目の前の課題を解決したい」と思い立ち、起業を決意します。
最初は、名刺の渡し方も契約書のつくり方も、営業の仕方もわからない。そんな中、試行錯誤して事業を進めてきました。この春大学を卒業する2人。今後は、「備蓄食の納入・管理・寄付をトータルで担えるサービスを展開すること、乾パンでティラミスをつくるなど、アップサイクルを取り入れること」に力を入れ、事業拡大を目指します。
■船田幸夫(YUKIO FUNADA)/ツーリズムプランナー
【profile】
千葉県流山市在住。神社仏閣のPR・企画業務に携わり12年。神社仏閣、ヘリコプター、ウェルネス、海外視察など様々な分野にわたるツーリズムのプランニングに関わる。その他、神社仏閣のお守りなど授与品の企画、宿坊(寺泊)事業のマネジメント業務も担当。
他にはない、レアな旅を楽しめるプラン
「去年は365日のうち、312日が外泊でした」と、さすが旅を仕事にしているフリーランスだけあり、驚くような報告からスタートした船田さんのプレゼン。「信仰×観光×健康」をテーマに、「旅という物語を深掘り」するべく、神社仏閣、ヘリコプター、温泉、SDGsなどさまざまなキーワードと絡めて、旅のプランニングをしているのだそう。
手掛けるプランはとてもユニーク。ポストコロナの新ツーリズムとして、京都の清水寺を夜間貸し切りにして見学するツアーや、比叡山と高野山をヘリコプターでつないで参拝するツアーなど、他にはない船田さんならではのアイデアが満載です。このようなレアな旅に注目が集まり、メディアで取り上げられることもしばしば。
ピンチの中で前を向き、チャンスをつかむ
コロナ禍で旅行業界は大打撃を受けましたが、これを「ピンチとはとらえたくない」と船田さん。「ピンチはチャンス」と、フリーランスという自身のポジションを活かした仕事を展開しようと前向きに歩んでいます。「自分をサブスクのように使ってほしいと売り込んだら、うまくいった」のだそう。
時間があるときには、あらゆるホテルのアメニティを記録したレポートをつくって、その情報を旅行会社に売り込むなど、とにかくアグレッシブに動くのが船田流です。会場が蔦屋書店とのことで、船田さんが影響を受けた本を3冊、プレゼンの中で紹介してくださいました。どんな本なのか、ぜひ動画でチェックしてみてください。
■クロストーク
配信動画では見られない、5人の登壇者のクロストークをちょっとだけ公開します。
飯野さんのメタバース上のカウンセリングの話を聞いて、「最近は、神社仏閣もメタバースを使い始めているので、いろいろ相談したい」と、船田さん。
また、関さんと菊原さんが、深川さんに「どうやって彼女と復縁したんですか?」と興味津々に尋ねるなど、初対面ながら登壇者同士、和気あいあいとトークが展開されました。
会場に足を運んだ人だけしか聞けないレアな話に、リスナーも笑顔で耳を傾けていました。
■参加者コメント
クロストーク終了後は、参加者が登壇者に直接質問するなど、間近で触れ合うリアル開催ならではの時間。
ここでいくつか、参加者の感想をご紹介します。
◎これから自分でビジネスをしたいと思っているので、起業をした人の話を聞きたくて足を運びました。ゼロからイチを生み出すのがビジネスの難しい部分ですし、まわりに女性の起業家はいないので、関さんと菊原さんの話がとても興味深かったです。
(30代・会社員)
◎これまで4~5回ほど参加したことがありましたが、久しぶりに足を運びました。狭い業界で働いているので、異業種の方の話を聞きたいなと。旅に関する副業に挑戦したいと思っていて、船田さんの話からインスピレーションを受けました。
(30代・弁護士)
◎ちょうど出張のタイミングが合ったので、仙台から参加しました。メタバースや備蓄食などあまり知らない分野の話を聞いて、とても勉強になりましたし、自分で調べてもっと学んでみようと思いました。いい刺激になりました。
(30代・美容系)
◎初参加です。登壇者からリスナーに質問を投げかけるなど、ただ話を聞くだけではなくて、相互のやりとりがあるのがおもしろいと思いました。アットホームな雰囲気がいいですね。いろんな生き方、挑戦の仕方があるなと、将来の選択肢の広さを見せてもらった気がします。
(20代・学生)
次回は2月21日(火)朝8:00から六本木 蔦屋書店にて開催します。
ぜひ会場に足を運んで、生で熱い話を聞いてみてくださいね。
お申し込みは、こちらから。